グロムの中古を探していると、価格の安い初期型から5速ミッションを採用した新しいモデルまで幅広く見つかります。しかし、年式や走行距離だけで決めてしまうと、購入後にタイヤやチェーン、ブレーキなどの交換費用が重なったり、カスタム内容によって思わぬトラブルに悩まされたりすることがあります。
グロム中古の注意点で特に重要なのは、車両価格よりも「どのように使われ、どのように整備されてきた車両なのか」を確認することです。この記事では、JC61・JC75・JC92の違いから実車確認、カスタム車、走行距離、中古相場、リコールまで、中古グロムを選ぶ際に押さえておきたいポイントを具体的に解説します。
グロム中古の注意点は「安さ」より車両状態を優先すること

中古グロム選びで最も大切なのは、年式や走行距離を単独で判断材料にしないことです。グロムは通勤や街乗りだけでなく、カスタムやスポーツ走行を楽しむ人にも人気があるため、同じ走行距離でも車両の状態には大きな差があります。
走行距離より整備履歴を確認する
たとえば走行3,000kmの車両でも、何年間もほとんど動かさず屋外に置かれていた場合は、タイヤの硬化やバッテリーの劣化、チェーンの錆などが進んでいる可能性があります。反対に、走行15,000kmでも定期的にオイル交換され、消耗品も適切に交換されてきた車両なら良好な状態を保っていることがあります。
販売店では、オイル交換履歴や点検記録簿が残っているかを確認しましょう。前オーナーの整備履歴がすべて分からない中古車は珍しくありませんが、「入庫後に何を点検し、何を交換したのか」を具体的に説明できる販売店なら判断材料が増えます。
グロムは遊び用途で使われていた可能性も考える
グロムはコンパクトな車体と12インチホイールを持つスポーツモデルで、カスタムベースとしても人気があります。HRCからレースベース車も展開されてきた車種であり、一般の中古車についてもスポーティーな使われ方をしていた可能性は考えておくべきでしょう。
もちろん、社外マフラーやステップが付いているだけで荒く扱われていたとは判断できません。ただし、転倒痕が多い、ハンドルストッパーが変形している、エンジン周辺まで大幅に変更されているなど複数の要素が重なれば、初心者が積極的に選ぶ理由は少なくなります。
購入価格ではなく納車後に必要な総額で考える
中古車価格が数万円安くても、納車直後に前後タイヤ、チェーン・スプロケット、ブレーキパッド、バッテリーなどを交換すれば価格差は簡単に縮まります。特に中古グロムでは、本体価格だけを比較するのではなく、支払総額と納車整備の内容を確認することが重要です。
安い車両ほど危険という意味ではありません。消耗品交換を前提として安く販売されている車両もあります。重要なのは、安い理由を販売店が説明でき、その費用まで含めても納得できるかです。
グロムはJC61・JC75・JC92で違いが大きい

中古グロムを選ぶときは「何年式か」だけでなく型式も確認しましょう。日本では2013年の登場から複数回のモデル変更が行われており、大きくJC61、JC75、JC92に分けて考えると特徴を整理しやすくなります。
| 型式・世代 | 主な時期 | 主な特徴 | 中古で向いている人 |
|---|---|---|---|
| JC61 | 2013年~2016年頃 | 4速。2016年に外観を大幅変更 | 価格を抑えたい人、旧型デザインが好きな人 |
| JC75 | 2017年~2020年 | 4速。2016年型に近いスタイルを継承 | 旧型のスタイルと価格のバランスを重視する人 |
| JC92 | 2021年~ | 123cc新エンジン、5速、1チャンネルABS、ギアポジション表示 | 使いやすさや装備を優先したい人 |
JC61は価格が魅力だが経年劣化まで確認する
初代グロムは2013年に登場し、124cc空冷単気筒エンジンと4速マニュアルミッションを採用しています。2016年にはLEDヘッドライトを備えた外観へ大きく変更されましたが、型式はEBJ-JC61のままでした。
初期型は中古価格を抑えやすい一方、すでに10年以上経過している車両もあります。この年代では走行距離の少なさだけでなく、ゴム部品、タイヤ、ホース類、フォークシール、ベアリング、電装系などの経年変化も重要です。長期間動かされていなかった低走行車より、定期的に使われ整備されていた車両のほうが安心できる場合もあります。
JC75は4速モデルを安く狙いたい場合の候補
2017年モデルでは型式が2BJ-JC75となりました。2020年モデルのHonda公式諸元では124cc空冷単気筒、4速ミッション、車両重量104kg、燃料タンク容量5.7Lとなっています。
中古車としてはJC61より年式が新しく、JC92より価格を抑えられる車両が見つかることがあります。5速にこだわらず、街乗り中心で予算を抑えたい場合には検討しやすい世代です。ただし、「JC75だから状態が良い」とは限らないため、年式より個体の整備状態を優先してください。
JC92は5速・ABSを重視するなら有力
2021年に登場したJC92ではエンジンが123ccの新設計となり、従来の4速から5速トランスミッションへ変更されました。Hondaは1チャンネルABSも標準装備し、メーターにはギアポジションインジケーターとREVインジケーターを追加しています。
5速になったことで選択できるギアが増えるため、市街地だけでなく郊外を走る機会が多い人にも選びやすいモデルです。中古価格は旧型より高くなりやすいものの、ABSや年式の新しさを重視するならJC92を優先する価値があります。
中古グロムの実車で確認したいポイント

気になる中古グロムが見つかったら、外装の傷だけで判断せず、エンジン、車体、足まわり、消耗品を順番に確認します。バイクに詳しくない場合でも、販売店へ質問することで確認できる項目は多くあります。
エンジンは冷間始動できると状態を判断しやすい
可能であれば、エンジンが完全に冷えた状態から始動させてもらいましょう。販売店へ到着する前からエンジンが温まっていると、冷間時だけ発生する始動性の悪さなどを確認しにくくなります。
セルモーターが極端に弱くないか、始動後に安定してアイドリングするか、警告灯が正常に消灯するかを確認します。エンジン周辺にはオイル漏れや不自然な液体のにじみがないかも見ておきたいところです。
試乗できる場合は、クラッチが滑っている感覚がないか、各ギアへ自然に変速できるか、ニュートラルへ入りにくすぎないかなども確認します。中古車なので多少の使用感はありますが、明らかな異音や操作不良があれば原因を販売店へ確認してください。
転倒歴はハンドル周辺と左右の傷を見る
グロムのような軽量車でも、走行中の転倒では足まわりやハンドル周辺へ大きな力が加わります。バーエンド、レバー、ステップ、マフラー、エンジンケースなど、地面に接触しやすい部分の傷を左右とも確認しましょう。
特に確認したいのがハンドルストッパー付近です。軽い立ちゴケによる小傷だけなら走行に支障がないこともありますが、ストッパーが大きく潰れている、左右で状態が極端に違う、不自然な補修跡がある場合は強い衝撃を受けた可能性を考える必要があります。
フォーク・タイヤ・ブレーキ・チェーンは交換費用まで考える
フロントフォークのインナーチューブに錆がないか、フォークシール付近にオイルが付着していないかを確認します。ホイールには大きな傷や変形がないか、タイヤには溝だけでなくひび割れや極端な偏摩耗がないかを見てください。
ブレーキはパッド残量だけでなく、ディスクの状態やブレーキフルードの管理状況も確認します。チェーンについては錆、固着、伸び、給油状態を確認し、スプロケットの歯が極端に摩耗していればセット交換を考えたほうがよいでしょう。
参考として2024年以降のJC92についてHondaはドライブチェーンのたるみを30~40mmと案内しています。ただし、旧型まで同じ数値だと決めつけず、購入する年式の取扱説明書やサービスデータを基準にしてください。
タイヤやバッテリーは「残量」だけでは判断できない
タイヤは溝が十分に残っていても、製造から長期間経過してゴムが硬化していることがあります。サイドウォールの製造時期やひび割れも確認したほうが安心です。
バッテリーも「今セルが回るから問題ない」とは限りません。長く展示されていた車両や使用頻度の低かった車両では弱っている場合があります。納車整備で充電だけなのか、新品交換されるのかまで確認すると購入後の出費を把握しやすくなります。
カスタムされた中古グロムは内容を理解してから選ぶ

グロムはカスタムパーツが豊富で、中古市場でもマフラー、ハンドル、レバー、フェンダーレスキットなどを装着した車両が多く見つかります。カスタム自体を避ける必要はありませんが、変更箇所によって中古車としてのリスクは大きく異なります。
外装系カスタムとエンジン系カスタムは分けて考える
リアキャリア、USB電源、ミラー、レバーなどのボルトオンパーツであれば、取り付け状態に問題がなければ比較的判断しやすいでしょう。一方、吸排気、ECU、エンジン内部まで変更されている車両は確認事項が増えます。
社外マフラーが装着されている場合は、適合する製品なのか、音量や排出ガスに関する要件を満たしているのかを確認します。極端な吸排気変更やECUセッティングが行われている場合は、どの部品を使い、誰が施工したのかが分からない車両を初心者が選ぶメリットは小さくなります。
ボアアップ車は排気量と登録区分を必ず確認する
グロムではエンジンの排気量を増やすボアアップ用パーツも流通しています。こうした車両は純正状態とは性格が大きく異なるうえ、排気量によって必要な免許や登録区分が変わる可能性があります。
「125cc登録のままなのに実際は125ccを超えている」といった状態の車両は選ばないでください。排気量変更が行われている中古車を検討するなら、現在の実排気量、登録内容、必要な免許、保安基準への適合を販売店へ確認する必要があります。
純正部品が残っているか確認する
カスタム車では、取り外した純正マフラー、ミラー、フェンダー、レバーなどが付属するか確認しておくと安心です。購入後に純正へ戻したくなった場合、部品を一からそろえるより負担を減らせます。
ただし「純正部品が残っている=車両状態が良い」という意味ではありません。カスタム内容を説明できること、作業状態が丁寧であること、純正部品の有無を合わせて判断しましょう。
走行距離と中古相場はどう判断すればよい?

中古グロムを検索すると、走行数千kmの低走行車から数万km走った車両まで見つかります。しかし「何kmを超えたら買ってはいけない」という明確な境界線はありません。走行距離は車両状態を判断する材料の一つとして利用します。
1万km以下でも無条件に安心とはいえない
中古バイクでは走行距離が少ないほど好条件に見えます。しかしグロムの初期型では、すでに長い年月が経過しています。たとえば10年以上前の車両が走行2,000kmしか走っていないなら、「低走行でお得」と考えるだけでなく「長期間どのように保管されていたのか」を確認する視点が必要です。
反対に走行距離が伸びている車両でも、オイル交換や消耗品交換が記録されているなら比較しやすくなります。走行距離だけで候補から除外するより、整備記録と現在の状態を合わせて見るほうが合理的です。
走行距離が多い車両では交換履歴が重要
走行距離が増えるほど、タイヤ、チェーン、スプロケット、ブレーキパッドなどが交換されている可能性も高くなります。「何km走っているか」と同時に「何をいつ交換したか」を確認してください。
同じ2万kmでも、消耗品が交換されたばかりの車両と、ほぼすべて交換時期を迎えている車両では購入後の負担が違います。価格の安さだけでなく、納車後1年ほどで必要になりそうな整備まで想定すると比較しやすくなります。
中古価格が新車に近いなら新車も比較する
2026年8月時点の中古車情報では、グロムの平均掲載価格はおおむね40万円弱の水準にあります。一方、2026年モデルのHondaメーカー希望小売価格は、スプレンディドブルーとパールシャイニングブラックが423,500円、アンダーカウルを標準装備するゲイエティーレッドが440,000円です。
中古車サイトの掲載価格と新車メーカー希望小売価格は条件が異なるため単純比較はできませんが、高年式中古車では新車との差が小さいケースがあります。中古車にも登録や保険などの諸費用が加わるので、必ず支払総額同士で比べてください。
高年式JC92の中古を検討するときは、「中古だから当然安い」と考えず、同条件の新車見積もりも取るのがおすすめです。価格差が小さければ、保証や消耗品の状態まで考えると新車のほうが納得しやすい場合があります。
リコール・改善対策と購入前の書類確認も忘れない

中古グロムでは車体の状態だけでなく、メーカーが届け出たリコールや改善対策が実施済みか確認する必要があります。対象は年式だけでは正確に判断できないため、最終的には車台番号で確認します。
初期JC61には燃料ポンプの改善対策がある
Hondaは2014年、グロムとズーマーXについて燃料ポンプに関する改善対策を届け出ました。その後2016年には新たな原因が判明したとして対象範囲を拡大しています。グロムではEBJ-JC61のうち、車台番号JC61-1000003~JC61-1202305の範囲が記載されています。
Hondaの発表では、燃料ポンプ内部の部品が膨張してインペラと干渉し、最悪の場合は燃料ポンプが停止してエンストし、再始動できなくなるおそれがあるとされています。対象範囲には改修対象ではない車両が含まれる場合もあるため、番号だけで自己判断せずHondaの検索システムで確認してください。
2020年JC75と初期JC92には後部反射器のリコールがある
2021年5月には複数車種を対象とした後部反射器のリコールが届け出られ、グロムでは一部のJC75とJC92が対象範囲に含まれています。内容は、後部反射器の成型状態によって反射光が散乱し、保安基準に適合しないおそれがあるというものです。
こうしたメーカー対応は、中古販売店で対策済みになっている場合もあります。購入候補が決まった段階で「リコールや改善対策はすべて実施済みですか」と確認し、必要であれば車台番号を使ってHonda公式の二輪車リコール等情報から確認すると確実です。
車台番号・書類・鍵を購入前に確認する
販売証明書など登録に必要な書類がそろっていることはもちろん、車台番号が書類と一致しているかも重要です。個人売買では特に、名義変更や登録に必要な書類を事前に確認してください。
鍵についてはスペアキーがあるかも確認しておくと安心です。取扱説明書、整備記録、純正部品などが残っている場合は一緒に受け取れるか確認しましょう。中古車は購入後より契約前のほうが確認しやすいため、気になる点を曖昧なままにしないことが大切です。
販売店選びと現車確認で失敗を減らす方法

同じ中古グロムでも、販売店によって納車整備、保証、消耗品交換の基準は異なります。車体価格だけでは分からない部分だからこそ、購入後の安心感を左右するポイントになります。
「納車整備付き」の内容を具体的に聞く
「納車整備済み」「点検済み」と書かれていても、実際の作業内容は店舗によって異なります。エンジンオイルを交換するのか、ブレーキやチェーンは点検だけなのか、タイヤやバッテリーはどの状態なら交換するのかを確認してください。
2024年以降のJC92についてHondaは、エンジンオイル交換時期を初回1,000kmまたは1か月、その後3,000kmまたは1年ごとと案内しています。中古購入時に直近の交換時期が分からなければ、納車時に交換してもらえるか確認すると管理をリセットしやすくなります。
保証は期間だけでなく対象部品を見る
「3か月保証」「1年保証」といった期間だけでは十分に比較できません。エンジンやミッションだけが対象なのか、電装系まで含まれるのか、走行距離の上限が設定されているのかなど条件を確認しましょう。
遠方の販売店から通信販売で購入する場合は、故障時に近くの店舗で対応できるのか、購入店へ車両を持ち込む必要があるのかも重要です。数万円安くても、トラブル時の輸送費や手間が大きければ近隣店で買うメリットが上回ることがあります。
迷ったら状態の良いノーマル車を基準にする
複数の中古グロムで迷った場合は、「より新しい」「より走行距離が少ない」という一つの条件だけで順位を付けず、整備履歴、転倒痕、カスタム内容、消耗品、保証を並べて比較してください。
初めて中古バイクを買う人なら、多少価格が高くてもノーマルに近く、整備履歴が分かり、納車整備と保証内容が明確な車両のほうが購入後の不確定要素を減らせます。安い車両を整備しながら楽しむ選び方は、修理やカスタムを自分で楽しめる人に向いています。
| 確認項目 | 選びやすい状態 | 慎重に判断したい状態 |
|---|---|---|
| 整備履歴 | 記録や交換内容が分かる | 過去の状態がほぼ不明 |
| 始動状態 | 冷間から自然に始動する | 始動しにくい、異音が目立つ |
| 転倒痕 | 軽微な傷のみで説明がある | ストッパー変形や複数箇所の大きな傷 |
| カスタム | 内容・メーカー・施工状況が明確 | エンジンやECUまで変更内容が不明 |
| 消耗品 | 交換時期や残量が分かる | タイヤ、チェーン、ブレーキなどが一斉に交換時期 |
| リコール | 車台番号で対策状況を確認済み | 対象確認がされていない |
| 保証 | 期間と対象範囲が明確 | 保証なし、または条件が曖昧 |
グロム中古の注意点を押さえて自分に合う1台を選ぼう
グロム中古の注意点として最も重要なのは、走行距離や価格だけでは車両の良し悪しを判断できないことです。整備履歴、冷間時の始動状態、転倒痕、フォークやブレーキ、タイヤ、チェーンなどを確認し、購入後に必要となる費用まで含めて比較しましょう。
年式では、価格を抑えやすい4速のJC61・JC75と、5速ミッションやABSを備えたJC92で選び方が大きく変わります。街乗り中心で予算重視なら状態の良い旧型も候補になりますが、年式の新しさや装備を優先するならJC92が選びやすいでしょう。
カスタム車については、変更内容が明確なライトカスタムなら過度に避ける必要はありません。一方、エンジン内部やECUまで変更され、施工内容が分からない車両は初心者には判断が難しくなります。リコール・改善対策についても車台番号から確認してください。
結局のところ、中古グロムで狙いたいのは「最安値の車両」ではなく、「状態と整備内容を説明でき、支払総額に納得できる車両」です。高年式車では新車との価格差も比較しながら、用途と予算に合った1台を選ぶことが購入後の後悔を減らすポイントです。



