Z900RSを購入しようと考えているものの、「街や道の駅で見かける台数が多すぎる」「せっかく大型バイクを買うのに人と被るのは嫌だ」と迷っている方もいるでしょう。実際、Z900RSは大型バイクの中でも突出した人気を長期間維持してきたモデルです。
ただし、台数が多いことはデメリットだけではありません。人気が続く背景には、Z1を受け継ぐデザイン、並列4気筒エンジン、扱いやすさなど明確な理由があります。この記事では販売台数を確認しながら、なぜZ900RSが多く見えるのか、多いことで何が困るのか、購入後に後悔しない判断基準まで整理します。
Z900RSは多すぎ?数字を見ると「多く感じる」のは自然

結論からいうと、Z900RSを「多すぎる」と感じるのは単なる気のせいとはいえません。大型バイク市場では長期間にわたって販売上位を維持しており、ツーリングスポットなどで同じ車種に遭遇しやすいだけの台数が存在します。
401cc以上クラスで長期間トップクラスの販売台数
Z900RSは2018年の国内販売開始以降、大型バイクとしては異例ともいえる人気を続けています。カワサキも2025年10月時点の公式発表で、2018年から2024年まで日本国内の小型二輪401cc以上クラスにおいて7年連続販売台数1位と案内していました。
さらに2025年についても、BDS ReportではZ900RS/CAFE/SEの販売台数が4,073台とされ、401cc以上の販売ランキングでトップを維持しています。つまり、8年にわたって大型クラスの中心的な存在であり続けたことになります。
| 年 | Z900RSシリーズの販売台数 | 状況 |
|---|---|---|
| 2023年 | 5,605台 | 401cc超クラス1位 |
| 2024年 | 5,905台 | 401cc超クラス1位 |
| 2025年 | 4,073台 | 401cc以上クラスで引き続きトップ |
2023年から2025年までの公表されている推計値だけを単純合計しても15,000台を超えます。もちろんZ900RSはそれ以前から販売されていますから、実際に国内を走っている車両はさらに多いと考えられます。
2025年の新車販売が減っても街から急には減らない
興味深いのは、2025年の販売台数が2024年より減っている点です。それでも「最近Z900RSが多くなった」と感じる人がいるのは、新車販売台数と道路上の車両数が同じではないからです。
バイクは購入から数年間乗られることが一般的なので、毎年数千台規模で販売された車両が中古車として次のオーナーへ渡りながら市場に残ります。新車販売が多少落ち着いても、それまで積み上がった保有車両がすぐ消えるわけではありません。
つまりZ900RSの場合、「今年何台売れたか」だけを見るより、2018年から人気が継続していることのほうが重要です。長期間のヒットによって街中で遭遇する確率が徐々に高くなってきたと考えるほうが自然です。
道の駅やバイク用品店ではさらに多く見える
Z900RSの遭遇率は場所によっても大きく変わります。一般の通勤路ではそれほど見かけなくても、休日の道の駅、サービスエリア、人気ツーリングルート、バイク用品店などでは大型バイクそのものが集中します。
その中でも販売台数の多いZ900RSは当然目につきます。さらに丸型ヘッドライト、ティアドロップ型タンク、特徴的なテールなどシルエットを認識しやすいため、「またZ900RSがいる」と気づきやすい面もあります。
SNSでもZ900RSの投稿やオーナー同士の集まりが目につきやすいため、実際の販売台数以上に存在感が大きく感じられることがあります。
Z900RSが多すぎるほど人気になった理由

単純に価格が安いから大量に売れたわけではありません。150万円前後から購入を考える大型バイクでありながら長期間支持されている背景には、デザインと性能のバランスがあります。
Z1を連想させるデザインを現代のバイクとして楽しめる
Z900RSの大きな特徴は、1972年に登場したカワサキ900スーパー4、通称「Z1」から着想を得たデザインです。ティアドロップ型の燃料タンク、丸型ヘッドライト、二眼メーター、テール周辺などに往年のZを思わせる要素があります。
重要なのは、昔のバイクをそのまま復刻したものではないことです。クラシックな雰囲気を持ちながら、フレーム、サスペンション、ブレーキ、燃料供給、電子制御などは現代的な設計になっています。
旧車の雰囲気が好きでも、古い車両の入手価格や部品供給、整備頻度に不安がある人にとって、「新しいバイクとしてZらしいデザインを楽しめる」という立ち位置は魅力があります。幅広い年代に支持されやすい理由の一つです。
948cc並列4気筒という分かりやすい魅力がある
現行Z900RSは948ccの水冷4ストローク並列4気筒エンジンを搭載しています。2027年モデルの最高出力は116PS、最大トルクは98N・mです。
スペックだけを競うスーパースポーツとは方向性が異なり、公道での扱いやすさと大型4気筒らしい余裕を両立させています。ゆったり流しても楽しめ、必要な場面では十分な加速力を得られるため、ツーリングからワインディングまで用途を限定されにくいバイクです。
外観だけをレトロにしたモデルではなく、走行性能にも大型バイクらしい満足感があることが、長期的な人気につながっていると考えられます。
最新型では電子制御まで大幅に充実している
Z900RSはモデルチェンジによって現代的な装備も強化されています。カワサキ公式サイトで案内されている現行世代では、電子制御スロットル、IMU、KCMF、KTRC、シフトアップ・ダウン対応のKQS、エレクトロニッククルーズコントロール、スマートフォン接続機能などが採用されています。
KQSはクラッチ操作を省いてシフトアップ・ダウンを行いやすくするクイックシフター、クルーズコントロールは高速道路などで一定速度を維持しやすくする機能です。レトロな外観とは対照的に、中身はかなり現代的になっています。
2027年式の標準Z900RSは2026年8月1日に発売され、メーカー希望小売価格は1,507,000円です。車両重量216kg、シート高810mm、燃料タンク容量17Lとなっています。
昔ながらのZらしい雰囲気を求める人と、現代の大型バイクとして快適に乗りたい人の両方を狙える点が、Z900RSの強さです。
カスタムしやすいことも人気をさらに広げている
Z900RSは販売台数が多いため、マフラー、外装、フェンダーレスキット、ハンドル、シート、ステップなど多数のアフターパーツが展開されています。純正状態を楽しむだけでなく、自分好みに仕上げたい人にも選びやすい車種です。
人気車だからパーツメーカーにとっても商品を開発しやすく、パーツが豊富だからさらに車両を購入しやすくなるという循環が生まれます。この環境は新型車や販売台数の少ない車種では簡単に再現できません。
Z900RSが多すぎることで感じやすいデメリット

人気があること自体は悪いことではありませんが、「自分だけの特別な大型バイクが欲しい」という人にとっては明確なデメリットになります。購入前には性能だけでなく、所有したときの満足感まで考えておくことが大切です。
ツーリング先で同じ車種と被りやすい
最も分かりやすい欠点は、同じ車種と遭遇しやすいことです。大型バイクを趣味として購入する人の中には、所有すること自体に特別感を求める人もいます。その場合、駐車場に同じZ900RSが何台も並んでいる光景を見て複雑に感じる可能性があります。
これは性能では解決できない問題です。周囲と違うものを所有することがバイク選びの重要条件なら、「人気だから安心」というメリットより、「人と被る」というデメリットを大きく感じるでしょう。
人気カラーや定番カスタムではさらに似やすい
Z900RSは車両数が多いだけでなく、Zらしさを強く感じられるカラーや定番のカスタムスタイルに人気が集まりやすい車種です。そのため、車種が同じだけでなく外観まで似た車両と遭遇することがあります。
特に「Zらしい定番スタイルが一番好きだが、人と同じなのは嫌」という人は悩みやすいでしょう。デザインの完成度が高いから純正状態を選びたい一方、個性を出そうとして大きく変更すると、本来好きだった雰囲気から離れてしまう可能性があります。
個性を出すためのカスタム費用が増えやすい
車体を購入したあと、他人との差別化を目的として外装、マフラー、ホイール、サスペンションなどに手を入れていくと、費用は大きくなります。150万円前後の車両だからこそ、追加費用まで含めると予算との差が広がりやすくなります。
カスタムそのものが趣味なら問題ありません。しかし「ノーマルでも十分好きなのに、人と被るから仕方なく変更する」のであれば、本来必要のなかった出費になる可能性があります。
実は「多すぎる」からこそ得られるメリットも大きい

Z900RSの多さを欠点として見るだけでは、人気車ならではの利点を見落とします。長く所有するほど、販売台数の多さが安心材料になる場面もあります。
整備やカスタムに関する情報を見つけやすい
オーナー数の多い車種は、タイヤ交換、消耗品、ツーリング装備、カスタムパーツなどに関する情報も豊富です。初めて大型バイクを所有する人にとって、同じ車種の情報を探しやすいことは大きなメリットになります。
用品メーカーやショップ側にもZ900RSの施工例や取り付け実績が蓄積しやすいため、カスタムを相談するときも完成イメージを共有しやすくなります。
アフターパーツの選択肢が豊富
販売台数が少ないバイクでは、欲しいパーツが発売されていなかったり、選択肢が一社しかなかったりすることがあります。Z900RSの場合は人気モデルだけあって、同じカテゴリーでも複数の商品から比較しやすいのが特徴です。
見た目を変えるドレスアップだけでなく、積載性や快適性を高める部品も選択しやすいため、購入後に用途が変化しても対応しやすいでしょう。
人気は中古車需要にもつながりやすい
将来的に売却するとき、車種自体に一定の知名度と需要があることはプラス材料です。ただし、「Z900RSなら必ず高く売れる」と考えるのは危険です。
中古車の査定価格は年式、走行距離、車両状態、カラー、修復歴、需給などによって変化します。カスタム車も、投入したパーツ代がそのまま査定額に上乗せされるとは限りません。
将来の売却まで考えるなら、取り外した純正部品を保管し、車体に戻せない加工をむやみに行わない方法が無難です。人気車という土台を活かしながら、売却時の選択肢も残せます。
Z900RSで人と被りたくない場合の選び方

Z900RSそのものが好きなのに「多すぎる」という理由だけで候補から外す必要はありません。車種を変えなくても、選び方次第で周囲との差を出すことはできます。
まず「Z900RSでなければ嫌なのか」を考える
最初に整理したいのは、Z900RSの何に魅力を感じているかです。Z1を思わせるデザイン、4気筒エンジン、カワサキというブランド、カスタムの楽しさなど、理由が明確なら人と被っても満足できる可能性があります。
逆に「人気があるから」「周囲から勧められたから」という理由が中心なら、購入後に同じ車両を大量に見て気持ちが冷めるかもしれません。
他人と同じことが気になるかどうかより、自分がZ900RSそのものを見て乗りたいと思えるかが重要です。
標準車だけでなくSEやCAFEなども比較する
Z900RSには仕様の異なるモデルが用意されています。2027年モデルとしてカワサキ公式サイトに掲載されているメーカー希望小売価格は次のとおりです。
| モデル | メーカー希望小売価格 | 主な方向性 |
|---|---|---|
| Z900RS | 1,507,000円 | 基本となるスタンダードモデル |
| Z900RS Black Ball Edition | 1,529,000円 | ブラックを強調した外観 |
| Z900RS SE | 1,837,000円 | オーリンズ製リヤショックやブレンボ製ブレーキなどを採用 |
| Z900RS CAFE | 1,540,000円 | ローポジションハンドルなどカフェレーサー風の仕様 |
価格は消費税込みのメーカー希望小売価格で、登録などに伴う諸費用は含まれません。モデルによって発売時期も異なるため、購入時にはカワサキ公式サイトや販売店で最新の在庫・販売状況を確認する必要があります。
同じZ900RSシリーズでも外観や乗車姿勢、足回りなどに違いがあります。「人と違う仕様が欲しい」という理由だけで選ばず、自分の使い方に合うかまで確認しましょう。
カスタムは元に戻せる範囲から始める
個性を出したい場合は、最初から大掛かりなカスタムをする必要はありません。シートやミラー、フェンダーレス、スクリーンなど、比較的変更しやすい部分だけでも印象は変化します。
特に納車前に大量のパーツを注文するより、まずノーマルで一定期間乗ったほうが「本当に変えたい部分」を判断しやすくなります。Z900RSは純正状態のデザイン自体を気に入って購入する人も多いため、乗ってみると意外に変更する必要を感じないことも考えられます。
純正部品を保管しておけば、好みが変わったときや売却するときにも戻しやすくなります。
被りがどうしても嫌なら別の車種も試乗する
「駐車場で同じ車種が隣に来るだけでも嫌」と感じるのであれば、Z900RSは相性がよくない可能性があります。販売台数が多いという事実は自分では変えられないからです。
現行の大型ネイキッドでは、ホンダCB1000Fのようにクラシカルな要素を取り入れた直列4気筒モデルも存在します。2026年8月時点のメーカー希望小売価格はCB1000Fが1,397,000円で、999cc直列4気筒、最高出力124PSという構成です。
もちろんデザインやエンジンフィールはZ900RSとは異なります。スペック表だけで決めるのではなく、実車のサイズ感、ポジション、エンジンの感触まで比較したほうが、「本当はZ900RSが欲しかった」という別の後悔を防ぎやすくなります。
Z900RSを買って後悔しやすい人・満足しやすい人

「多すぎる」という評価だけでZ900RSの良し悪しは決まりません。重要なのは、人気車であることを含めて自分の価値観と合うかどうかです。
満足しやすいのはZ900RSそのものに魅力を感じる人
Z1を意識した外観が好き、並列4気筒の大型ネイキッドに乗りたい、ツーリングでも使いやすいバイクが欲しいという人には有力な候補です。
カスタムパーツや情報が多いことをメリットと考えられる人にも向いています。街で同じ車両を見たときに「人気だから仕方ない」「同じバイクが好きな人がいる」と考えられるなら、台数の多さはそれほど問題になりません。
希少性を重視する人には向かない可能性がある
逆に、所有している人が少ないこと自体に価値を感じる人は慎重に考える必要があります。Z900RSは限定された一部の愛好家だけが乗るモデルではなく、日本の大型バイク市場を代表する人気車です。
人と被らないことが購入条件の上位にあるなら、購入後も遭遇するたびに気になってしまう可能性があります。その場合は、販売台数の少ないモデルを含めて比較したほうが満足度は高くなるでしょう。
取り回しや車格は実車で確認したい
現行Z900RSの標準モデルは車両重量216kgです。シート高は810mmですが、数値だけで足つきや取り回しを判断することはできません。体格、脚の長さ、シート形状、ハンドル位置によって感覚は変わります。
大型バイクに慣れていない人の場合、走り出してしまえば扱いやすく感じても、駐車場での押し引きや傾斜した場所では重量を感じる可能性があります。
「人気車だから誰でも乗りやすい」と考えるのではなく、購入前に可能な限り実車へまたがり、できれば試乗して確認することが重要です。
Z900RSを選ぶか迷ったら、「人と被るか」「見た瞬間に欲しいと思えるか」「取り回せるか」「用途に合うか」「予算内か」の5点を分けて考えると判断しやすくなります。
Z900RSが多すぎても、欲しい理由が明確なら選ぶ価値はある
Z900RSが多すぎると感じることには、販売実績という明確な背景があります。2023年は5,605台、2024年は5,905台、2025年も4,073台規模が販売されており、長年にわたって大型クラスのトップを走ってきました。ツーリング先で何台も見かけることは不思議ではありません。
一方、人気の高さはZ1を受け継いだデザイン、948cc並列4気筒、現代的な電子制御、豊富なカスタムパーツなど、多くのライダーに選ばれる理由が積み重なった結果でもあります。台数が多いからこそ情報やパーツを見つけやすいという利点もあります。
人と被ることを強く嫌うなら、Z900RSを選ばないことも合理的です。しかし、Z900RSそのものが好きなのに「みんな乗っているから」という理由だけで諦めると、別のバイクを購入してから後悔する可能性もあります。最終的には人気ランキングではなく、駐車場に置いた自分のバイクを見たときに満足できるかどうかを基準に選ぶのがよいでしょう。


