「W650は不人気なのだろうか」「今から中古で買うと後悔するのでは」と気になっている方もいるでしょう。W650は最新の大型バイクと比べると、パワーや安全装備、始動の手軽さなどで古さを感じる部分があり、人によって評価が大きく分かれるモデルです。
ただし、中古市場の流通状況やオーナー評価を見ると、単純な不人気車とは言いにくいのが実情です。この記事では、W650が不人気と言われる理由、本来の魅力、中古車選びで注意したいポイントまで整理し、自分に合うバイクなのか判断できるように解説します。
W650は不人気?実際は根強い需要があるモデル

結論からいえば、W650は「売れなかった不人気車」というより、好みがはっきり分かれるバイクです。速さや最新装備を重視する人からは選ばれにくい一方、クラシックなスタイルや空冷2気筒のフィーリングを好む人からは現在も支持されています。
約10年販売されたことからも単純な不人気車とは言いにくい
W650は1999年に登場したカワサキの大型クラシックモデルです。カワサキ公式のWシリーズの歴史によると、675ccの空冷バーチカルツインを搭載してWブランドを復活させ、2009年の限定ファイナルモデルまで約10年にわたって生産されました。
短期間で販売を終えたモデルではなく、後継となるW800へコンセプトが受け継がれた点を見ても、商品として一定の支持を得ていたことがわかります。「W650 不人気」という言葉だけを見て、失敗作だったと考える必要はありません。
中古価格を見ると需要の弱い車種ではない
本当に人気がなく需要も少ない絶版車であれば、一般的には中古価格が大きく下がりやすくなります。しかしW650は、生産終了から長い年月が経過した現在も安価な車両ばかりではありません。
2026年8月時点のWebikeバイク選びでは、中古車の平均本体価格が約82万円、平均乗り出し価格が約89万円となっています。掲載台数や価格は常に変化しますが、20年前後経過した車両としては価格が維持されているといえるでしょう。
グーバイクでも全国に多数の中古車が掲載されており、低走行車、最終型、クロームバージョン、カスタム車などは高めの価格が設定されるケースがあります。
「人気がある」と「万人受けする」は別の話
W650に対する評価が分かれる最大の理由は、バイクに何を求めるかによって長所と短所が逆転することです。穏やかな出力特性は、速さを求める人には物足りなく感じますが、景色を楽しみながら走りたい人には魅力になります。
キャブレターやキックスターターも、手軽さを求める人には面倒な装備ですが、機械を操作する感覚が好きな人には楽しさの一部です。つまりW650は、幅広い人に無難に勧められる万能車ではないものの、価値観が合った人から長く愛されやすいモデルと考えるのが適切です。
「不人気だから安く買えるバイク」を期待すると現在のW650とは少し違います。程度の良い中古車には相応の価格が付いているため、価格より状態を重視して選ぶことが重要です。
W650が不人気と言われる主な理由

W650には、現在の大型バイクと比較すると明確に不便な部分があります。購入してから「思っていたバイクと違った」と感じる人がいるのも事実です。代表的な理由を理解すると、自分との相性を判断しやすくなります。
大型バイクとしては速さを前面に出したモデルではない
W650は675ccの空冷SOHC並列2気筒エンジンを搭載しています。初期モデルは最高出力50PS、後期モデルでは48PSとなっており、排気量だけを見てスポーツ性の高い大型バイクを想像すると、加速に物足りなさを感じる可能性があります。
ただし、これは性能が不足しているというより設計の方向性が異なるためです。W650が重視しているのは、高回転まで回して最高出力を引き出すことではなく、低中速域を使いながら空冷2気筒の鼓動や音を味わうことです。
高速道路を含む通常のツーリングは可能ですが、リッターバイクのような強烈な加速を期待するモデルではありません。追い越し加速や高速域の余裕を最優先にするなら、より高出力な車種のほうが満足しやすいでしょう。
高速道路では風圧や振動を感じやすい
W650は大型スクリーンのないクラシックなネイキッドスタイルです。そのため速度が上がるほど上半身へ走行風を受けやすく、長時間の高速道路では疲労につながることがあります。
さらに360度クランクの並列2気筒は、W650らしい鼓動感を生み出す一方、回転数や個体の状態によってはハンドルやステップから振動を感じます。街中や一般道では魅力になる振動が、高速道路を長く走ると負担になる場合があるということです。
高速道路を一切走れないわけではありません。実際のオーナーレビューにも高速巡航を問題なく行っている例がありますが、防風性や快適性を最優先したツアラーとは性格が異なります。
キャブレターなど現代のバイクより手間がかかる
W650は燃料供給にキャブレターを採用しています。現在主流のフューエルインジェクションと比べると、長期間乗らなかった場合や気温が低いときなどに、始動方法へ多少気を使うことがあります。
一方で、セルスターターだけでなくキックスターターも装備されています。エンジンを自分で始動させる感覚を楽しめるのはW650ならではの魅力ですが、「ボタンを押せばいつでも同じように始動する便利さ」を求める人には古く感じられるでしょう。
ABSなど現在では一般的な装備がない
W650の後期型はフロントがディスク、リアがドラムというシンプルなブレーキ構成で、ABSは搭載されていません。現代の大型バイクに慣れている人ほど、電子制御や安全装備の少なさを気にする可能性があります。
特に雨天時や緊急制動では、ABS付き車両とは扱い方が異なります。W650のブレーキが通常走行に使えないということではありませんが、最新モデルと同じ装備水準を期待しないことが重要です。
車重と足つきは実車で確認したほうがよい
後期W650は乾燥重量195kgで、燃料などを含めれば210kg前後になる大型バイクです。シート高は800mmですが、シートに横幅があるため、数値だけを見て想像するより足を地面へ下ろしにくいと感じる人もいます。
走り出してしまえば扱いやすいという評価も多い一方、駐輪場での押し引きや傾斜地での取り回しでは重量を感じます。特に初めて大型バイクを購入する場合は、可能であれば購入前にまたがり、車体を起こした状態やハンドルを切った状態で確認したほうが安心です。
不人気という評価だけではわからないW650の魅力

W650が現在まで支持されている理由は、スペック表だけでは評価しにくい部分にあります。速さや電子装備では新しいモデルに勝てなくても、「乗っていて気持ちいい」「眺めていたくなる」という点に価値を感じる人には魅力的な一台です。
ベベルギア駆動の空冷バーチカルツインが個性的
W650最大の特徴といえるのがエンジンです。675ccの空冷4ストローク並列2気筒に360度クランクを採用し、カムシャフトの駆動には一般的なチェーンではなくベベルギアとシャフトを使用しています。
カワサキイチバンのW650エンジン解説でも、機能美を重視して高精度かつコストのかかるベベルギア駆動を採用したことが紹介されています。エンジン右側を通るベベルシャフトは外観上のアクセントにもなっています。
最高出力だけを見ると現在の650ccクラスに及びませんが、W650の魅力は数字ではなく回転を上げすぎずに走ったときの鼓動と穏やかなトルク感です。交通の流れに合わせて普通に走るだけでもエンジンの存在を感じやすい点が、このモデルの個性です。
流行のネオクラシックとは異なる素朴なスタイル
丸型ヘッドライト、細身の燃料タンク、スポークホイール、2本出しマフラー、左右2本のリアショックなど、W650は昔ながらのオートバイらしい形をしています。
発売当時からクラシックを意識したデザインだったため、現在見ても大きく流行遅れになりにくいことが特徴です。反対に、シャープなLEDライトや太いタイヤ、大きな倒立フォークなどを好む人には地味に見えるでしょう。
「古く見えること」が欠点ではなく魅力になるかどうかが、W650選びで最も重要な判断基準の一つです。
速く走らなくても楽しめる
高性能な大型バイクでは、車両の能力を持て余してしまうと感じる人もいます。W650は低中速域からエンジンの音や振動を感じやすいため、制限速度の範囲でもバイクを操作している感覚を楽しみやすいモデルです。
峠を競うように走ったり、高速道路を短時間で移動したりするより、一般道を使った日帰りツーリングや景色を楽しむ走り方に向いています。「目的地まで速く行く」より「移動そのものを楽しみたい」という人との相性が良いでしょう。
磨くことやカスタムも楽しみの一部になる
クロームメッキやアルミの仕上げが目立つW650は、きれいに維持するとクラシックな外観がさらに引き立ちます。その一方で、雨ざらしや手入れ不足の車両ではサビやくすみが目立ちやすいため、保管環境の影響を受けます。
カフェレーサー、スクランブラー、クラシックツアラーなどさまざまな方向へカスタムされた中古車もあります。ただし現在は絶版車なので、純正部品の供給状況は部品ごとに異なります。長く所有するなら、購入店や整備を依頼する店へ部品調達について確認しておくと安心です。
W650を買って後悔しやすい人と向いている人

W650の満足度は、性能の優劣より使い方との相性で決まりやすいモデルです。「かっこいいから」という理由だけで購入すると、実際に乗り始めてから不便さが気になる可能性があります。
| タイプ | W650との相性 |
|---|---|
| 強烈な加速や最高速を楽しみたい | あまり向かない |
| 高速道路を長時間快適に移動したい | 他のツアラーも比較したい |
| 電子制御やABSを重視する | 現行W800などが候補 |
| 一般道をのんびり走りたい | 相性が良い |
| 空冷2気筒の音や鼓動が好き | 相性が良い |
| キャブ車やキック始動に魅力を感じる | 相性が良い |
| 古いバイクの整備や経年劣化が不安 | 購入店と車両状態次第 |
性能を排気量で判断する人は後悔しやすい
675ccという排気量から「大型らしい圧倒的な速さ」を期待すると、W650はおとなしく感じるでしょう。スポーツバイクから乗り換えた場合は、ブレーキやサスペンションを含めて動きが穏やかに感じられる可能性があります。
速さが必要ないと頭では理解していても、アクセルを開けたときの刺激をバイクの楽しさとして重視している人には向きにくいモデルです。購入前にはスペックだけでなく、自分が普段どのような走り方をしているかを振り返る必要があります。
便利さを最優先する人には現行車のほうが合いやすい
気温や保管期間をあまり意識せず始動したい、ABSが欲しい、夜間は明るいLEDライトがいい、といった実用性を重視するなら現行車のメリットが大きくなります。
2026年モデルのW800は773ccの空冷バーチカルツインというWシリーズらしさを残しながら、フューエルインジェクション、前後ディスクブレーキ、ABS、LEDヘッドライト、グリップヒーター、ETC2.0などを採用しています。
メーカー希望小売価格は2026年モデルで130万9,000円です。W650の程度の良い中古車も安価とはいえなくなっているため、購入後の整備費まで考えるならW800との総額比較にも意味があります。
W650にしかない古さを楽しめる人には向いている
一方で、W650を選ぶ理由が「安いW800」だけではなく、キャブレター、キックスターター、シンプルな車体構成などにあるなら、現行車では完全に代用できません。
ツーリング先で休憩しながら車体を眺める時間まで楽しみたい人や、磨いたり整備したりすることを負担ではなく趣味の一部だと感じられる人には、W650は現在でも魅力的です。
中古W650で後悔しないために確認したいポイント

現在W650を購入するなら、ほぼすべてが年数を重ねた中古車です。年式や走行距離だけで優劣を決めるより、保管状況と整備履歴を含めて判断することが重要になります。
エンジンは可能なら冷間時から確認する
販売店で確認できるなら、あらかじめ暖められた状態だけでなく冷えた状態から始動する様子を見たいところです。セルで始動できるか、アイドリングが極端に不安定ではないか、不自然な異音や白煙がないかなどを確認します。
キャブレター車は長期間放置すると燃料系の整備が必要になることがあります。始動性が悪い場合に「古いキャブ車だから普通」と決めつけず、原因と納車前に行う整備内容を販売店へ聞くことが大切です。
走行距離より整備履歴と経年部品を見る
低走行車は魅力的ですが、20年以上前の車両では「走っていないこと」が必ずしも好条件とは限りません。ゴムホース、シール類、タイヤなどは走行距離が少なくても時間によって劣化します。
フロントフォークのオイルにじみ、ステムやホイールベアリングの状態、ブレーキ、チェーンとスプロケット、タイヤの製造年、燃料ホースなどを確認しましょう。定期的に使用され、必要な消耗部品が交換されている車両のほうが安心できるケースもあります。
タンク・スポーク・メッキなど外装も細かく見る
クラシックバイクは外装の状態が価格を大きく左右します。燃料タンク内部のサビ、スポーク、前後フェンダー、マフラー、ボルト周辺などを確認しましょう。エンジンカバーなどのアルミ部分も、保管状態によってくすみや腐食の程度が変わります。
表面のサビは見た目だけの問題で済むことがありますが、燃料タンク内部や足回りの腐食は整備費用につながります。外装がきれいだから機関も良好とは限らないため、エンジンや足回りとは分けて評価することが必要です。
カスタム車は純正車以上に内容を確認する
W650にはカスタム車が多く、中には非常に魅力的な車両もあります。しかし、社外マフラー、ハンドル、灯火類、フェンダー、サスペンションなどが変更されている場合は、保安基準への適合や車検対応について確認が必要です。
カスタム内容だけでなく、純正部品が残っているかも確認しておくとよいでしょう。将来ノーマルへ戻したくなったとき、絶版車では純正パーツを一から集めるほうが難しいことがあります。
W650とW800で迷ったら何を基準に選ぶ?

現在W650を検討する人にとって、最も比較しやすいのがW800です。同じWシリーズとしてスタイルやエンジンの考え方を受け継いでいますが、購入後の付き合い方には大きな違いがあります。
| 比較項目 | W650 | 2026年W800 |
|---|---|---|
| 排気量 | 675cc | 773cc |
| 燃料供給 | キャブレター | フューエルインジェクション |
| 始動 | セル+キック | セル |
| ABS | なし | あり |
| ヘッドライト | ハロゲン | LED |
| 車両の選び方 | 中古車の状態を個別に確認 | 新車で購入可能 |
| 向いている人 | 旧車的な操作感も楽しみたい人 | クラシック感と現代の便利さを両立したい人 |
古い機械を操作する感覚ならW650
キックでエンジンを始動したい、キャブレター独特の感覚が好き、できるだけシンプルな構成を楽しみたいという人にはW650が適しています。単に見た目がクラシックなだけではなく、中身にも1990年代から2000年代のバイクらしさが残っています。
この部分に価値を感じるなら、W800のほうが新しくて便利だからという理由だけでW650を諦める必要はありません。むしろW650を選ぶ明確な理由になります。
日常で気兼ねなく使うならW800が有利
通勤や頻繁なツーリングにも使いたい、突然の雨でもABSが欲しい、始動性に気を使いたくないという場合はW800のほうが扱いやすいでしょう。新車ならメーカー保証や販売店のサポートを受けやすい点も大きな違いです。
中古W650の購入価格だけを見ればW800より安い車両が多いものの、タイヤ、サスペンション、燃料系、消耗品などをまとめて整備すれば追加費用が発生します。車両価格だけでなく購入後1〜2年に必要になりそうな整備費まで含めて比較することが重要です。
価格差が小さいW650ほど状態を厳しく見る
低走行の最終型や美しいノーマル車では、W650でも高額になることがあります。価格が高いこと自体は希少性や状態を反映している場合がありますが、「高いから必ず程度が良い」とは限りません。
現行W800の価格へ近づくほど、W650ならではの価値を自分がどこまで重視するかが重要になります。キャブやキックに魅力を感じないのであれば、差額を出して新しいW800を選ぶほうが合理的というケースもあります。
W650の不人気説は気にしすぎず自分の使い方で判断しよう
W650は、速さや最新装備を求める人から見れば魅力がわかりにくく、そのことが「不人気」と言われる理由になっています。48〜50PS程度の穏やかなエンジン、キャブレター、ABSなしという構成は、現在の大型バイクと比較すれば明らかに古い部分です。
しかし、1999年の登場から約10年間販売され、現在も多数の中古車が流通していることを考えると、需要がないバイクとはいえません。675ccの空冷バーチカルツイン、ベベルギア駆動、キックスターター、昔ながらのスタイルは、現行車では得にくい魅力です。
一般道をゆっくり走ることや、音・振動・機械を操作する感覚そのものを楽しみたいなら、W650は今でも十分候補になります。反対に、高速巡航の快適性、強い加速、ABSや現代的な利便性を重視するなら、W800を含む新しいモデルまで比較したほうが後悔しにくいでしょう。
中古で選ぶ際は、不人気か人気かという評判よりも、整備履歴、保管状態、エンジンや燃料系、足回りの状態を確認することが重要です。W650の「古さ」を妥協点ではなく魅力として受け入れられるかどうかが、購入後の満足度を左右する最大のポイントです。



