「トレーサー9GTを買うと後悔するのでは?」と気になっている方は、足つきの悪さや車体の重さ、シートの快適性、街乗りでの扱いやすさなどに不安を感じているのではないでしょうか。約160万円の大型バイクだけに、購入後に用途と合わなかったと気づくのは避けたいところです。
結論からいうと、TRACER9 GTは長距離ツーリングとスポーツ走行をどちらも楽しみたい人には魅力的ですが、足つきや取り回しを重視する人には注意が必要です。ただし、ネット上には旧型の情報も多く、2025年モデルではシートや取り回しなどが改良されています。
この記事では、トレーサー9GTで後悔しやすいポイントを整理しながら、現行モデルで改善された部分、GT+ Y-AMTとの違い、購入前に確認しておきたいことまでわかりやすく紹介します。
トレーサー9GTで後悔する?結論は用途と足つきが合えば満足しやすい

トレーサー9GTは欠点の多いバイクというより、得意な使い方がはっきりしているバイクです。高速道路を使ったロングツーリングやワインディングを楽しみたい人には魅力が大きい一方、近距離中心で気軽に乗りたい人にはオーバースペックと感じられる可能性があります。
後悔しやすいのは「快適なツアラー=楽なバイク」と考えている人
TRACER9 GTはヤマハがスポーツツーリングモデルとして展開している車種です。888ccの直列3気筒エンジンは最高出力120PSを発揮し、電子制御サスペンションや大型電動スクリーンなど、長距離移動を支える装備も充実しています。
ただし、ツアラーだからといって、取り回しまで軽いわけではありません。2025年モデルの車両重量は227kgで、シート高は845mmまたは860mmです。駐車場での押し引きや傾斜地での停車では、大型バイクらしい重量を感じる場面があります。
つまり、走行中の快適性と停車時の扱いやすさは別問題です。高速道路を長時間走る用途では強みが生きますが、狭い駐輪場への出し入れを毎日のように行うなら、購入前に慎重に確認したほうがよいでしょう。
2025年モデルの基本スペックを把握しておく
現在ヤマハ公式サイトで案内されているTRACER9 GT ABSは、2025年4月15日に発売されたモデルです。メーカー希望小売価格は1,595,000円で、888ccのCP3直列3気筒エンジンを搭載しています。
| 項目 | TRACER9 GT 2025年モデル |
|---|---|
| メーカー希望小売価格 | 1,595,000円 |
| 排気量 | 888cc |
| 最高出力 | 120PS/10,000rpm |
| 最大トルク | 93N・m/7,000rpm |
| 車両重量 | 227kg |
| シート高 | 845mm/860mm |
| 燃料タンク容量 | 19L |
| 使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
スペックだけを見ると大柄ですが、120PSのエンジンと電子制御サスペンションを組み合わせた走行性能は、この車種を選ぶ大きな理由になります。逆に、その性能をほとんど使わない街乗り中心の用途では、価格や重量に対するメリットを感じにくくなる可能性があります。
トレーサー9GTで後悔しやすい5つのポイント

購入後に気になりやすいのは、単純な性能不足ではありません。むしろ「高性能だから何でも快適だろう」という期待と、実際の使用環境とのズレが後悔につながりやすいと考えられます。
足つきは購入前に必ず確認したい
2025年モデルのシート高はローポジションでも845mmです。数値だけを見れば、足つきを不安に感じる人がいても不思議ではありません。特に小柄なライダーや、両足をしっかり接地させたい人には重要な確認ポイントです。
一方で、シート高の数字だけで判断するのも適切ではありません。2025年モデルではシート前部が細くなり、脚を下方向へ出しやすい形状へ変更されています。ヤマハも、従来モデルよりシート高自体は上がったものの、またぎ長を短縮して足つき性に配慮したと説明しています。
したがって、「845mmだから自分には無理」と決めつける必要はありません。反対に、身長だけを基準に「170cmなら大丈夫」と判断するのも危険です。股下の長さ、ブーツ、体重によるサスペンションの沈み込み方によって感覚は変わるため、実車確認が最も確実です。
227kgの重量は停車すると無視できない
走行中のTRACER9 GTはスポーツツアラーらしい軽快さを狙った設計ですが、車両重量そのものは227kgあります。平坦な場所で真っすぐ支えているだけなら問題なくても、車体が傾いた状態や傾斜した駐車場では負担が増えます。
特に注意したいのが、またがった状態でのバックです。つま先しか接地しない状態では地面を蹴る力を使いにくく、わずかな上り勾配でも苦労する可能性があります。ツーリング先の砂利駐車場や道路脇の傾斜したスペースでは、走行性能とは別の扱いづらさが表面化します。
「走っていると軽い」という評価と「取り回しが楽」という評価は同じではありません。購入前には走行試乗だけでなく、エンジンを切った状態での押し引きも確認しておきたいところです。
街乗り中心では性能を持て余しやすい
TRACER9 GTは888cc・120PSのエンジンを搭載し、高速巡航やワインディングで魅力を発揮するモデルです。しかし、片道数kmの通勤や買い物が中心であれば、高い防風性能や電子制御サスペンションなどの価値を十分に感じにくい場合があります。
全幅は900mmあり、狭い道路や駐輪スペースでは250ccクラスのような気軽さは期待できません。渋滞では重量のある車体を何度も支える必要もあります。
もちろん街中でも乗れますが、「大型バイク1台ですべて済ませたい」という用途と、「毎日気軽に取り回したい」という用途では評価が変わります。年間の走行距離が短く、高速道路もほとんど使わないなら、本当にTRACER9 GTの強みが必要なのか考えておく価値があります。
サイドケースは車両価格に含まれていると思い込まない
TRACER9 GTはツーリングイメージの強いモデルなので、写真を見て「パニアケース付き」と思う人もいるかもしれません。しかし、2025年モデルではサイドケースやトップケースはオプションです。
車体にはサイドケース搭載時の安定性に配慮したダンパー内蔵ステーが用意されていますが、実際にケースを装着するには追加費用が必要です。トップケース、サイドケース、関連部品、ヒートシート、エンジンプロテクターなどを追加すると、支払総額はメーカー希望小売価格からさらに増えていきます。
ハイテク装備を使いこなすまで慣れが必要
現行TRACER9 GTには、電子制御サスペンション、YRC、7インチTFTディスプレイ、スマートキー、グリップウォーマー、電動スクリーンなど、多数の装備があります。YRCではエンジン特性だけでなく、トラクションコントロールやスライドコントロールなどの設定も変更できます。
細かく自分好みに設定できることは大きなメリットですが、「乗ってすぐシンプルに操作したい」という人には機能が多いと感じられる場合があります。スマートフォン連携によるナビゲーションなども、アプリとの接続を前提とする機能です。
電子装備そのものが欠点なのではなく、多機能さに価値を感じるかどうかが重要です。シンプルな大型バイクを求めている人は、購入後に「ここまでの機能は必要なかった」と感じる可能性があります。
旧型の「後悔ポイント」が2025年モデルでは改善されている

トレーサー9GTについて調べると、「足つきが悪い」「シートが硬い」「小回りが苦手」といった評価が見つかります。しかし、中古車を含めて複数の年式が存在するため、どのモデルについての評価なのかを確認することが重要です。
シート高は上がったが形状は足を下ろしやすくなった
2021年型TRACER9 GTではシート高が820mmまたは835mmでした。一方、2025年モデルでは845mmまたは860mmへ上がっています。数字だけを比べると明確に足つきが悪化したように見えます。
しかし、現行モデルではシート前部をスリム化しています。ヤマハは開発時にクッションの厚みを増やして長時間走行時の快適性を高めながら、太ももが接触する部分を細くし、脚を下へ出しやすくしたと説明しています。
そのため、旧型の記事に書かれている「シートが幅広くて足が開く」という評価を、そのまま2025年モデルに当てはめることはできません。中古の2021〜2024年型と新車の2025年型を比較している人は、同じTRACER9 GTでも実際に両方へまたがって判断するのがおすすめです。
シートの快適性にも手が入っている
旧型オーナーの評価では、純正シートの硬さを不満点として挙げる声も見られました。長距離向けのGTという名前から、非常に柔らかい座り心地を想像するとギャップを感じる可能性があります。
2025年モデルでは高密度クッション材を採用し、シート形状そのものも変更されています。さらに前後方向へ着座位置を移動しやすくすることで、長時間同じ場所へ圧力が集中しにくい設計が意識されています。
ただし、お尻の痛みは体格や座り方、走行時間によって個人差が非常に大きい部分です。「改良されたから絶対に痛くならない」とまでは考えず、長距離ツーリングが中心なら試乗だけでなくレンタル利用も有効です。
ハンドル切れ角が増え小回りしやすくなった
2021年モデルではハンドル切れ角が32度でしたが、2025年モデルでは35度へ拡大されています。最小回転半径も3.1mから2.9mへ短縮されました。
さらに、電子制御サスペンションにはメインキーをONにしてから30秒間、減衰力を低下させて取り回しを支援する制御が追加されています。大柄なツアラーで負担になりやすい駐車場での方向転換を意識した変更です。
もちろん227kgという重量そのものが消えるわけではありませんが、旧型の「ハンドルが切れず駐車場で扱いにくい」という評価については、現行モデルで改善が図られていると考えるべきでしょう。
それでも現行トレーサー9GTで確認しておきたい注意点

2025年モデルでは多くの改善が行われていますが、すべての人に扱いやすいバイクになったわけではありません。購入後の後悔を防ぐなら、改善された部分と変わらない部分を分けて考える必要があります。
足つき改善=低いバイクになったわけではない
シート形状によって脚を下ろしやすくなっていても、シート高845mmという数値自体は低くありません。片足をしっかり着ける乗り方に慣れていれば問題がなくても、両足のかかとまで接地する安心感を求める人にはハードルになる可能性があります。
足つきに不安がある場合、ワイズギアでは2025年型TRACER9 GTに対応するローダウンリンクが設定されています。車高の下がり幅は26mmと案内されています。
ただし、ローダウンすると車体姿勢やサスペンションの特性にも影響します。実際に導入する場合は、単純に低くできるからと自己判断せず、販売店と相談しながら自分の用途に適しているか確認したほうが安心です。
通常のGTには追従型ACCやY-AMTはない
TRACER9 GTとTRACER9 GT+ Y-AMTは、名前が似ているため装備を混同しやすいモデルです。通常のTRACER9 GTには一定速度を維持するクルーズコントロールがありますが、先行車との車間距離を調整しながら追従するACCを目的にするならGT+ Y-AMTを確認する必要があります。
GT+ Y-AMTには、クラッチレバー操作を不要にするY-AMTも採用されています。2025年モデルのメーカー希望小売価格は、通常のGTが1,595,000円、GT+ Y-AMTが1,980,000円で、差額は385,000円です。
| 比較項目 | TRACER9 GT | TRACER9 GT+ Y-AMT |
|---|---|---|
| メーカー希望小売価格 | 1,595,000円 | 1,980,000円 |
| クラッチ操作 | 通常のクラッチ操作 | Y-AMTでクラッチレバー操作不要 |
| クルーズ機能 | 定速クルーズコントロール | 先行車追従機能を備えたACC |
| 向いている人 | 価格と装備のバランスを重視する人 | 長距離で先進運転支援を重視する人 |
「後からACCが欲しくなった」「Y-AMTにすればよかった」という後悔は、カスタムだけでは解決しにくい部分です。購入時には価格差だけでなく、数年間使う中でどちらの機能を求めるかまで考えて選ぶ必要があります。
プレミアムガソリンと維持費も考えておく
TRACER9 GTの指定燃料は無鉛プレミアムガソリンです。1回あたりの差額は大きくなくても、年間走行距離が長いツーリングユーザーほど燃料費への影響は積み重なります。
さらに、大型スポーツツアラーではタイヤ交換やチェーン、ブレーキ、オイルなどの維持費も小排気量車より高くなりやすい傾向があります。電子制御サスペンションなどの高機能装備を備えていることも含め、購入価格だけでなく維持できる予算を確保しておくことが大切です。
トレーサー9GTを買って後悔しにくい人・しやすい人

スペックの良し悪しだけでは、自分に合うかどうかは判断できません。TRACER9 GTの特徴と実際の使い方を照らし合わせると、向いている人とそうでない人が見えやすくなります。
後悔しにくいのは長距離とスポーツ走行の両方を楽しむ人
高速道路を使って遠くまで移動し、目的地ではワインディングも楽しみたい人にとって、TRACER9 GTのキャラクターは非常に理にかなっています。
大型電動スクリーンは100mmの範囲で無段階調整でき、グリップウォーマーや電子制御サスペンションも標準装備されています。電子制御サスペンションにはスポーツ寄りのA-1と、快適性を重視したA-2があり、路面や走り方に応じて性格を変えられます。
888ccの3気筒エンジンも、単に高速道路を淡々と走るだけの設定ではありません。スポーツ性を残しながら荷物を積んで遠出できることがTRACER9 GTの大きな魅力です。高速移動と峠道の両方を楽しむ人ほど、価格に対する満足度を得やすいでしょう。
近距離中心なら別のバイクも比較したい
反対に、通勤や市街地での移動が中心で、年に数回しか高速道路へ乗らない人の場合、TRACER9 GTの長所を使う機会が少なくなります。
227kgの車体を毎回駐輪場から出し入れし、プレミアムガソリンを給油しながら維持するのであれば、「もっと軽いバイクのほうが気軽だった」と感じる可能性があります。
大型バイクに乗ること自体が趣味であれば問題ありませんが、実用性を最優先するならミドルクラスまで含めて比較したほうが、用途に合った選択をしやすくなります。
快適性最優先ならライバルも比較する
TRACER9 GTは「スポーツを楽しめるツアラー」という性格が強いため、ツーリングでの快適性や低速トルク、足つきなどを最優先するなら、他車も比較する価値があります。
例えばHonda NT1100はシート高820mmで、現行モデルの車両重量は249kgです。TRACER9 GTより重い一方、シートは25mm低く、1,082ccの2気筒エンジンは5,500rpmで111N・mの最大トルクを発生します。どちらが優れているというより、TRACER9 GTの軽快さや高回転まで楽しめる3気筒を求めるか、NT1100のツーリング寄りの性格を求めるかで選択が変わります。
Ninja 1100SXのようなスポーツツアラーも含めて比較すると、「自分が欲しいのはアドベンチャー風のアップライトなポジションなのか、それともロードスポーツ寄りのツアラーなのか」も整理しやすくなります。
トレーサー9GTで後悔しないための購入前チェック

高価な大型バイクほど、カタログを読むだけで決めるより、実際の使用場面を想定して確認したほうが失敗を減らせます。特にTRACER9 GTは、走行中より停車時の相性をチェックすることが重要です。
試乗では「止まる・曲がる・バックする」を確認する
試乗すると120PSの加速や3気筒エンジンのフィーリングに意識が向きやすいですが、購入後の日常では駐車や信号待ちも繰り返します。
またがった状態で片足を着いたときに余裕があるか、ハンドルを左右いっぱいに切った状態で支えられるか、少し傾いた車体を起こせるかを確認しましょう。可能であれば、またがった状態でバックできるかも試しておくと実際の扱いやすさがわかります。
身長だけで足つきを判断せず、「信号待ち」「傾斜地」「駐車場」「荷物を積んだ状態」を想定して確認することが、トレーサー9GT選びでは重要です。
レンタルできるなら数時間乗る価値がある
数十分の試乗では、シートの相性や高速道路での防風性能、長時間乗ったときの疲れ方までは判断しにくいものです。ヤマハ バイクレンタルでは2025年型TRACER9 GTが設定されているため、利用できる店舗が近くにあれば購入前の確認方法として有効です。
短時間でバイクの速さだけを見るのではなく、高速道路、市街地、低速のUターン、駐車場など普段使う場面を試すと、自分との相性がより明確になります。
約160万円の車両を購入してから後悔することを考えれば、購入前に実際の用途に近い環境で乗る意味は大きいといえます。
オプション込みの見積もりで比較する
TRACER9 GTをツーリング仕様にするなら、サイドケースやトップケース、ヒートシート、エンジンプロテクター、ローダウンリンクなどを検討する人もいるでしょう。
本体価格だけを見て予算を組むと、欲しい装備を追加した段階で想定以上の金額になることがあります。特にGT+ Y-AMTとの価格差を考える際は、通常GTへオプションを追加した総額と比較することも重要です。
通常GTへ装備を追加していった結果、GT+ Y-AMTとの価格差が小さく感じる場合もあれば、ACCやY-AMTが不要なら通常GTのほうが合理的な場合もあります。最終的には「車両価格」ではなく「自分が欲しい状態まで仕上げた総額」で比べると後悔しにくくなります。
トレーサー9GTの後悔は旧型情報と自分の用途を分けて考えよう
トレーサー9GTで後悔しやすいポイントとして、足つき、227kgの重量、街乗りでの取り回し、オプション追加費用などが挙げられます。特に、楽なツアラーというイメージだけで購入すると、停車時の扱いやすさとのギャップを感じる可能性があります。
一方、2025年モデルではシート前部のスリム化やクッションの見直し、ハンドル切れ角の拡大、最小回転半径の短縮など、旧型で気になりやすかった部分に改良が加えられています。そのため、2021〜2024年型の口コミだけを読んで現行モデルを判断するのはおすすめできません。
高速道路を使ったロングツーリングとスポーティな走りを1台で楽しみたいなら、TRACER9 GTは有力な選択肢です。反対に、足つきや日常の取り回しを最優先するなら、試乗やレンタルで確認し、必要に応じて他車も比較したほうがよいでしょう。
購入前には、またがるだけでなく押し引きやバックまで確認し、サイドケースなど必要なオプションを含めた総額も計算しておくことが大切です。自分の体格と使い方が合っているかを確認できれば、「トレーサー9GTを選んで後悔した」という可能性を大きく減らせます。



