ヤマハの155ccスクーター「X FORCE(Xフォース)」について調べると、「不人気」「売れていない」といった言葉が目に入り、購入して後悔しないか不安になる方もいるでしょう。PCX160やNMAX155と比べて街で見かける機会が少ないことも、人気がないように感じる一因です。
結論からいうと、Xフォースはクラスを代表する大ヒットモデルとは言いにくいものの、性能が低いから選ばれていないバイクではありません。シート高や快適装備など人を選ぶ部分がある一方、軽さ、フラットフロア、価格、スポーティな走りには明確な強みがあります。2026年時点の情報をもとに、不人気と言われる理由と購入前に確認すべきポイントを整理します。
Xフォースは不人気?結論は「万人向けではないが性能が悪いわけではない」

XフォースがPCX160のような定番スクーターほど大きな販売規模ではないことは確かです。しかし、「販売台数が少ない=欠陥が多い」「買う価値がない」と考えるのは早計です。Xフォースは一般的な快適系スクーターとは少し違い、ストリートモタードのような軽快さを重視した設計だからです。
販売規模はPCX160より小さい
Xフォースは2022年に日本で発売され、ヤマハが発表した当初の国内年間販売計画は3,000台でした。2024年9月のマイナーチェンジモデルでは年間1,500台の販売計画と報じられており、発売当初より販売規模が小さく設定されています。
対してHondaが2025年に発売したPCX160の国内年間販売計画は6,500台です。販売計画と実際の販売台数は同じものではありませんが、メーカー側が想定している市場規模にかなり差があることはわかります。
Xフォース発売時の情報はヤマハ発動機のニュースリリース、PCX160の販売計画はHonda公式発表で確認できます。
2026年冬に生産終了予定と案内されている
2026年8月時点で、ヤマハ公式のX FORCE製品ページには「2026年冬 生産終了予定モデル」と表示されています。この情報を見ると、「やはり不人気だから終了するのでは」と考える人もいるでしょう。
しかし、ヤマハは公式ページ上で、生産終了の理由を販売不振だとは説明していません。モデルサイクル、商品ラインアップ、規制対応など、生産終了にはさまざまな事情が考えられるため、生産終了予定という事実だけから「不人気が原因」と断定することはできません。
「人気がない」のではなく選ぶ人が限定されやすい
Xフォースは、ゆったり座って快適に移動する典型的なスクーターとは方向性が少し異なります。幅広いバーハンドル、815mmの高めのシート、軽量な車体などを組み合わせ、ヤマハ自身が「Master of Street Scooter」をコンセプトに掲げています。
そのため、足つきや収納量、スマートキーなどの便利さを最優先する人にはPCX160やNMAX155が魅力的に映りやすい一方、軽快なハンドリングやフラットフロアを好む人にはXフォースのほうが合います。つまり、万人受けしにくいことと、出来が悪いことは別の話です。
Xフォースが不人気と言われる5つの理由

Xフォースが選ばれにくい背景には、単純な知名度だけでなく、購入時に比較されやすいポイントがあります。特にシート高、ライバルの強さ、装備の方向性は、販売面で不利になりやすい部分です。
シート高815mmで足つきに不安を感じやすい
最もわかりやすい弱点がシート高です。Xフォースのシート高は815mmあり、スクーターとしてはかなり高めです。2025年以降のNMAX155は770mm、PCX160は764mmなので、数値だけでも45〜51mmの差があります。
シート形状やライダーの股下によって実際の足つきは変わりますが、信号待ちが多い街乗りでは数センチの差でも安心感に影響します。特に小柄な人や、初めて軽二輪スクーターに乗る人には大きな判断材料になります。
一方、車両重量は130kgと軽いため、高いシートの割に車体を支えやすいのは救いです。ヤマハからはローダウンシートを装着した「X FORCE Low」も用意され、足つき性を最大約30mm改善できると案内されています。
PCX160という強力な定番モデルがある
155〜160ccクラスではPCX160の存在を無視できません。PCX160はシート高764mm、シート下収納30L、燃料タンク8.1Lを備え、通勤からツーリングまでわかりやすい使いやすさがあります。
Xフォースはシート下収納が約23.2L、燃料タンクが6.1Lです。フラットフロアという独自の便利さはあるものの、数字で比較するとPCX160のほうが「収納が大きい」「給油回数を減らしやすい」「足つきが良い」と判断されやすくなります。
スクーターを実用品として買う人ほど、この違いは無視できません。Xフォースは利便性が低いというより、収納容量だけを最大化せず、軽量さやスポーティな車体構成にも価値を置いたモデルと考えたほうが実態に近いでしょう。
同じヤマハにNMAX155がある
Xフォースにとって難しいのは、他メーカーだけでなくヤマハ自身にもNMAX155という競合車があることです。どちらも155ccのBLUE COREエンジンを搭載するスクーターで、高速道路を走ることができます。
現行NMAX155には電子制御でCVTの減速比を調整する「YECVT」、走行モード、シフトダウン機能、カラーTFTディスプレイ、スマートキーなどが採用されています。装備の新しさを比較すると、NMAX155のほうが豪華に感じる人は多いでしょう。
反対にXフォースには、センタートンネルがないフラットなステップボードがあります。大きな荷物を足元に置きやすく、乗り降りもしやすいため、NMAX155とは同じ排気量でも性格が異なります。とはいえ、違いを理解していない人には「同じヤマハならNMAXでよい」と判断されやすい構図です。
スマートキーではなく通常のキーを使う
Xフォースにはキーシャッターが装備されていますが、現行NMAX155やPCX160のようなスマートキー方式ではありません。毎日の通勤や買い物で頻繁に乗り降りする場合、ポケットからキーを出さずにエンジン始動やシート開閉ができる便利さは意外に大きな差になります。
走行性能そのものには関係ありませんが、40万円前後のスクーターを比較する人ほど装備差を気にします。ABSやトラクションコントロール、スマートフォン連携など重要な装備を持ちながら、キー周りは比較的シンプルという点が、スペック表で見た際の弱点になりやすい部分です。
乗り心地の硬さは好みが分かれやすい
Xフォースの試乗記事では、前後サスペンションがやや硬めという評価が見られます。たとえばwebオートバイの試乗記事でも、スポーティなハンドリングとともに、サスペンションの硬さについて触れられています。
これは必ずしも欠点ではありません。しっかりした接地感や軽快なハンドリングを好む人にはプラスに働きますが、荒れた舗装路をゆったり走りたい人には振動を強く感じる可能性があります。
つまり、「スクーターだから柔らかく快適だろう」と想像して買うとギャップが生まれやすいモデルです。Xフォースでは、エンジン性能以上に足つきと乗り心地を試乗で確認する価値があります。
Xフォースの欠点は?購入後に後悔しやすいポイント

不人気という評判だけでなく、自分の使い方と合わない部分を把握することが重要です。Xフォースで後悔につながりやすいのは、主に足つき、長距離快適性、収納・航続距離です。
低身長の人には停車時の安心感が弱い
815mmというシート高は、スポーツバイクなら珍しくありませんが、スクーターとして考えると高めです。しかもスクーターは通勤などで停車回数が多くなりやすいため、足つきの悪さを感じる頻度も増えます。
車重130kgという軽さによってカバーできる部分はありますが、傾斜した道路やわだちの上で足を着く場面では事情が変わります。ノーマルシートで不安を感じる場合は、X FORCE Lowやローダウンシートを検討したほうが安心です。
高速道路は走れるが長時間巡航向けとは言い切れない
Xフォースは155ccなので高速道路を走行できます。125ccスクーターにはない大きなメリットであり、バイパスや短距離の高速利用を含めて移動範囲を広げられます。
ただし、155cc単気筒エンジンは最高出力15PSです。法定速度で走れる性能はあっても、250ccクラスのような余裕を期待するモデルではありません。高速道路を長時間走ることが多い人や、追い越し加速の余裕を重視する人は、XMAXなど上の排気量も比較したほうが満足しやすいでしょう。
23.2L収納と6.1Lタンクはライバルより小さい
シート下トランクは約23.2Lで、ヘルメットを収納できる設計です。ただし、ヘルメットの形状やサイズによっては入らない場合があります。PCX160の30Lと比べれば、収納量では明確な差があります。
燃料タンクも6.1Lなので、PCX160の8.1LやNMAX155の7.1Lより小さめです。XフォースのWMTCモード燃費は40.9km/Lであり、単純計算上は十分な航続距離がありますが、ロングツーリングではライバルより給油を意識する場面が増えやすいでしょう。
フラットフロアは便利だが足を前へ投げ出しにくい
Xフォースの大きな特徴がフラットなステップボードです。灯油缶など危険な物を運ぶ用途は別として、日常のバッグや買い物袋を足元に置きやすく、乗り降りもしやすい構造です。
一方、NMAX155やPCX160のように足を斜め前へ伸ばすリラックスした姿勢は取りにくくなります。足元の自由度を「荷物を置けること」に求めるか、「足を伸ばせること」に求めるかで評価が変わる部分です。
不人気だけで候補から外すともったいないXフォースの魅力

弱点が目につきやすいXフォースですが、競合車にはない長所もはっきりしています。特に現行価格、130kgの軽さ、走行装備、フラットフロアは、使い方が合う人には大きなメリットです。
2026年時点ではライバルより車両価格が安い
ネット上には「Xフォースは価格が高い」という古い評価もあります。しかし、現行モデル同士で比較すると状況は変わっています。
2026年8月時点のメーカー希望小売価格は、Xフォースが407,000円、NMAX155が459,800円、PCX160が462,000円です。XフォースはNMAX155より52,800円、PCX160より55,000円安い計算になります。
現在のXフォースは「割高だから選びにくい」というより、装備をある程度割り切ることで40万円台前半に抑えた155ccスクーターとして見るほうが適切です。
130kgの軽量ボディは街中で扱いやすい
Xフォースの車両重量は130kgです。PCX160は134kg、現行NMAX155は135kgなので、数値上は3車の中で最も軽くなっています。
5kg程度の差は走行中よりも、駐輪場から引き出すときや押し歩き、センタースタンドを使う場面などで価値を感じやすい部分です。シート高の弱点を完全に消すほどではありませんが、取り回しでは軽さが助けになります。
ABSとトラクションコントロールを標準装備
価格を抑えていても、安全装備が極端に簡素というわけではありません。Xフォースは前後独立式ABS付きディスクブレーキとトラクションコントロールシステムを標準装備しています。
エンジンには155ccのBLUE COREユニットとVVA(可変バルブ機構)を採用しています。VVAはエンジン回転域に応じて吸気側の働きを変え、低回転域の扱いやすさと高回転域の伸びを両立させる仕組みです。
最高出力の数字だけを見ると突出していませんが、軽い車体と組み合わせることで市街地で扱いやすい構成になっています。スポーティなスクーターとしての魅力は、単純な最高速だけでは判断できません。
フラットフロアと23.2L収納を両立している
センタートンネルのないフラットフロアを持ちながら、シート下にも約23.2Lの収納を備えています。さらにフロントポケットにはUSB Type-Aソケットがあり、スマートフォンの充電にも対応します。
PCX160ほど大容量ではありませんが、通勤バッグは足元、ヘルメットや小物はシート下という使い分けができます。大きなリアボックスを付けずに普段使いしたい人にとっては、数値以上に便利に感じる可能性があります。
Xフォース・NMAX155・PCX160を比較すると違いがわかりやすい

Xフォースが自分に合うか判断するには、人気だけではなく同クラスのNMAX155、PCX160と比較するのが近道です。2026年8月時点で確認できる主な違いを整理すると、Xフォースの立ち位置が見えてきます。
| 項目 | Xフォース | NMAX155 | PCX160 |
|---|---|---|---|
| メーカー希望小売価格 | 407,000円 | 459,800円 | 462,000円 |
| 排気量 | 155cc | 155cc | 156cc |
| 最高出力 | 15PS | 15PS | 15.8PS |
| シート高 | 815mm | 770mm | 764mm |
| 車両重量 | 130kg | 135kg | 134kg |
| 燃料タンク | 6.1L | 7.1L | 8.1L |
| シート下収納 | 約23.2L | 約23L | 30L |
| スマートキー | なし | あり | あり |
| 特徴 | 軽量・フラットフロア | YECVT・装備充実 | 収納・足つき・実用性 |
価格と軽さではXフォースが有利です。足つき、タンク容量、スマートキーなど日常の快適性をまとめて重視するならNMAX155やPCX160が選びやすくなります。
特にPCX160は30Lの収納と764mmのシート高を持つため、「通勤用スクーターとして失敗しにくい」という強さがあります。一方、Xフォースはそれとは違う方向に振り、軽い車体と高めの着座位置、幅広いハンドルによるスポーティな感覚を特徴としています。
Xフォースをおすすめできる人・おすすめしにくい人

Xフォースは人気ランキングだけを見て選ぶタイプのバイクではありません。自分の体格と用途に合うかどうかで満足度が大きく変わります。
Xフォースがおすすめできる人
街中での取り回しを重視しながら、必要に応じて高速道路も利用したい人には相性のよいモデルです。125ccクラスに近い感覚で扱える軽量な車体と155ccエンジンの組み合わせは、都市部で特に生かしやすいでしょう。
フラットフロアが欲しい人にも有力です。NMAX155のようなセンタートンネル式が苦手で、乗り降りのしやすさや足元への荷物の置きやすさを重視するなら、Xフォースならではの価値があります。
さらに、PCX160やNMAX155ほど街中で見かけない車種に乗りたい人にも向いています。人と同じバイクを避けたい人にとって、販売台数の少なさは必ずしもデメリットではありません。
Xフォース向きなのは「足つきに問題がない」「街乗り中心」「フラットフロアが欲しい」「軽さを重視する」「装備の豪華さより価格と走りを優先する」という人です。
別のスクーターを検討したほうがよい人
両足がしっかり着くことを最優先する人には、815mmのシート高がネックになります。ローダウンシートという選択肢はありますが、最初から低い車体を求めるならPCX160やNMAX155も確認したほうがよいでしょう。
大容量収納、長い航続距離、スマートキーなど「毎日の便利さを全部まとめて欲しい」という人も、他車のほうが満足しやすい可能性があります。Xフォースは必要な基本装備を持っていますが、快適装備を盛り込んだラグジュアリー系スクーターではありません。
高速道路を頻繁に使って長距離ツーリングをする人には、250ccクラスも比較対象になります。高速道路を走れること自体が目的ならXフォースで問題ありませんが、巡航時の余裕や防風性能まで重視するなら排気量の大きなモデルにメリットがあります。
生産終了予定だからこそ新車購入は在庫確認が重要
2026年冬に生産終了予定と案内されているため、新車で欲しい場合は販売店の在庫状況を確認しておく必要があります。生産終了後も流通在庫が残る可能性はありますが、希望するカラーを必ず選べるとは限りません。
一方、中古車であれば価格差だけで決めず、転倒歴、タイヤ、駆動系、ブレーキ、サスペンションなど基本的な状態確認が重要です。Xフォースだから特別に故障しやすいと判断できる公式情報はなく、「不人気車だから中古は危険」という考え方にも根拠はありません。
Xフォースが不人気でも自分に合えば十分選ぶ価値がある
XフォースはPCX160ほど大きな販売規模を想定したモデルではなく、2026年冬には生産終了予定です。そのため「不人気なのでは」と感じられやすい状況はあります。しかし、生産終了の理由をヤマハが販売不振と発表しているわけではなく、性能面にも致命的な弱点があるわけではありません。
選ばれにくい最大の理由は、815mmという高いシート、23.2Lの収納、6.1Lの燃料タンク、通常キーといった部分が、PCX160や現行NMAX155と比較した際に万人向けではないことです。乗り心地もスポーティ寄りなので、快適性だけを求める人には合わない可能性があります。
その反面、407,000円という現行価格、130kgの軽さ、フラットフロア、ABS、トラクションコントロール、VVA付き155ccエンジンなど魅力は十分あります。「人気があるか」よりも、実際にまたがって足つきと乗り心地を確認し、自分が求める用途に合うかで判断するのがXフォース選びでは重要です。
街乗りを中心に軽快に走りたい人、PCXやNMAXとは違う個性が欲しい人、フラットフロアと軽さを重視する人なら、不人気という検索ワードだけを理由に候補から外す必要はないでしょう。


