「テネレ700は格好いいけれど、買ってから後悔しないだろうか」と迷っている人は少なくありません。特に気になるのは875mmというシート高、200kgを超える車体の扱いやすさ、街乗りや高速道路での快適性でしょう。
結論からいうと、テネレ700は欠点の多いバイクというより、オフロード性能を優先した設計が自分の使い方と合わない場合に後悔しやすいバイクです。逆に林道や未舗装路まで含めて旅を楽しみたい人には、その特徴が大きな魅力になります。
この記事では、テネレ700で後悔しやすいポイントを現在の国内仕様を踏まえて整理し、足つき対策や2025年モデル以降の変更点、ライバル車との違いまで解説します。
テネレ700で後悔しやすい人は?先に結論を整理

テネレ700を選んで後悔するかどうかは、バイクそのものの良し悪しよりも「どこを走りたいのか」で大きく変わります。オンロード中心の万能ツアラーだと思って買うと不便さが目につきやすい一方、本格的なアドベンチャーバイクとして選べば長所がはっきりします。
街乗り中心なら持て余す可能性がある
テネレ700は688ccの直列2気筒エンジンを搭載し、舗装路でも十分に楽しめます。ただし、設計の中心にあるのは未舗装路まで走れる高い走破性です。フロント21インチホイール、高い最低地上高、長いサスペンションストロークなど、一般的なロードバイクとは方向性が異なります。
このため、通勤や近所への買い物、都市部での短距離移動が中心なら、シートの高さや車体の大きさを負担に感じる可能性があります。走り出せば扱いやすくても、駐車場から出す、狭い場所で方向転換するといった場面では気軽さで小型・中型のロードモデルに及びません。
快適な高速ツアラーを求める人にも注意が必要
テネレ700にはスクリーンがあり、アップライトなポジションなので高速道路にも対応できます。しかし、豪華な大型ツアラーのような快適装備を最優先したモデルではありません。
2025年モデルでは電子制御スロットルや大型TFTディスプレイなど装備が充実しましたが、クルーズコントロールはヤマハの国内向け主要装備として案内されていません。高速道路を何百kmも一定速度で走る使い方では、こうした違いが購入後に気になる可能性があります。
林道まで走りたい人なら欠点が長所に変わる
一方で、キャンプツーリングの途中で林道へ入ったり、舗装されていない道を積極的に走ったりしたい人には、テネレ700の方向性がよく合います。
車体を立たせた状態で操作しやすいポジションや21インチのフロントホイール、オフロード向けに設定されたサスペンションなどは、単なる「アドベンチャー風」の外観ではなく実際の走破性につながっています。舗装路だけでは不便に見える部分にも理由があるのです。
最大の後悔ポイントは875mmのシート高と足つき

テネレ700を購入する前に最優先で確認したいのが足つきです。2025年モデルの国内仕様でもシート高は875mmとなっており、現在のヤマハ市販車の中でもかなり高い部類に入ります。
205kgという重量より「高い位置にある重さ」が気になる
ヤマハの2025年モデルのレンタル車両情報では車両重量は205kgです。大型アドベンチャーバイクとして極端に重い数字ではなく、250kg前後のモデルと比較すればむしろ軽量です。
それでも停車時に重く感じやすいのは、875mmのシート高とオフロード性能を確保するための車体構成が関係しています。足が十分に届かない状態で車体が傾くと、205kgという重量を急に支えなければなりません。
特に危険なのは平らなショールームではなく、道路のわだち、傾斜した駐車場、林道の斜面などです。平地なら問題なくても、足を着こうとした場所が数cm低いだけで急に支えにくくなります。
身長だけでは足つきを判断できない
「身長170cmなら乗れる」「175cm以上なら大丈夫」というように、身長だけで判断するのはおすすめできません。股下の長さ、体重、ブーツのソール、サスペンションの沈み込み、片足支持に慣れているかによって感じ方が大きく変わるからです。
ヤマハ自身も足つきの高さを認識しており、公式の記事では身長176cmのスタッフが標準仕様について、つま先がどうにか接地する程度だったと紹介しています。数字だけを見て購入するより、実車で停止姿勢まで確認することが重要です。
足つきが不安ならTénéré700 Lowという選択肢がある
現在は足つき対策として「Ténéré700 ABS Low」が用意されています。ローシートとローダウンリンクを組み合わせ、スタンダードより座面を約30mm下げるアクセサリーパッケージです。
スタンダードの875mmから単純計算すると約845mm相当となり、30mmの差は停車時の安心感に大きく影響します。2026年8月時点で、スタンダードのメーカー希望小売価格は1,452,000円、Lowの販売会社希望小売価格は1,474,000円です。
足つきを理由にテネレ700を諦めようとしているなら、まずLow仕様に実際にまたがってから判断する価値があります。
ローダウンにもデメリットはある
低くすればすべて解決するわけではありません。ヤマハはローダウンリンクの装着によってサスペンション特性が変化すると案内しています。せっかくのオフロード性能を重視するなら、必要以上に車高を下げることが必ずしも正解とは限りません。
ローシートについても、シート自体が薄くなるため、標準シートより硬く感じる可能性があります。足つきと長距離快適性のどちらを優先するかを考えて選ぶことが大切です。
取り回し・街乗り・高速道路で後悔しやすいポイント

テネレ700は「走っていると軽快なのに、止まると急に大きく感じる」という性格を持つバイクです。購入後の満足度を左右すのは、ワインディングでの楽しさだけでなく、日常で何度も繰り返す低速操作です。
狭い駐車場やUターンでは気を使う
全長2,370mm、全幅905mmという車体サイズに加え、ハンドル位置も高いため、狭い駐輪スペースではコンパクトなバイクほど気軽には扱えません。傾斜した場所で後ろ向きに押すような状況では、足つきの高さも影響します。
ただし、これは「205kgだから極端に重い」という話ではありません。同クラスのアドベンチャーバイクにはさらに重量のあるモデルもあります。テネレ700で問題になりやすいのは重量そのものより、停車時に足が十分届くかどうかです。
高速道路は走れるが、快適性最優先ではない
688ccのCP2エンジンは最高出力73PSで、高速道路の巡航能力に不足を感じる排気量ではありません。直列2気筒らしい扱いやすいトルクもあり、一般道から高速道路まで幅広く走れます。
ただし、長時間高速道路だけを走るなら別の評価になります。スクリーンによる防風効果はあるものの、豪華なツーリングモデルのような大きなカウルではなく、シートもオフロードで身体を動かしやすい形状です。
高速道路を移動手段として長時間使う人は、試乗だけではなく可能なら数時間レンタルして確認したほうが安心です。短い試乗では気にならなかったシートや風圧が、200km、300kmと走ると印象を変えることがあります。
タイヤとパンク修理も使用環境によっては重要
中古のテネレ700を検討する場合は、タイヤ仕様についても確認しておきたいところです。少なくとも2023年国内仕様のヤマハ公式カタログでは、前後ともチューブタイプと明記されていました。
チューブタイヤはオフロード車では珍しくありませんが、釘などを踏んだときに一般的なチューブレスタイヤ用の外面修理キットだけでは対応できません。林道や人里離れた場所へ行くなら、パンク時にどう対応するかまで準備しておく必要があります。
中古車は年式による仕様差や前オーナーによるホイール・タイヤ変更も考えられるため、購入する個体の状態を販売店で確認してください。
「装備が少なくて後悔」は旧型と2025年モデル以降で事情が違う

テネレ700について調べると「電子制御が少ない」「装備がシンプル」という評価を目にします。ただし、これは年式を分けて考える必要があります。2025年モデルでは大幅なアップデートが行われ、初期型とは装備内容がかなり変わりました。
2025年モデルは電子制御スロットルを採用
2025年モデルではYCC-Tと呼ばれる電子制御スロットルが採用され、「SPORT」と「EXPLORER」の2種類の走行モードを選択できるようになりました。
トラクションコントロールも搭載され、前後ABSオン、前後ABSオフ、リアのみABSオフを選べる3モードABSも引き続き採用されています。オフロードで電子制御を調整したい人にとって、以前より使いやすくなっています。
6.3インチTFTとナビ表示でツーリング性能も向上
メーターは6.3インチの縦型フルカラーTFTになり、スマートフォンとY-Connectで接続できます。スマートフォン経由でGoogle Mapsと連携し、進行方向を矢印で示すターンバイターンナビゲーションも利用できます。
USB-C充電ポートも標準装備されているため、「最新のツーリングバイクとして装備があまりにも簡素」という旧型のイメージは現在のモデルにはそのまま当てはまりません。
クイックシフターは標準ではなくアクセサリー
注意したいのは、双方向に対応するクイックシフターが別売アクセサリーであることです。同価格帯にはクイックシフターを標準装備する車種もあるため、装備を比較するときは車両価格だけで判断しないほうがよいでしょう。
一方で、必要な人だけ追加できることをメリットと考えることもできます。電子装備を満載した高級ツアラーではなく、オフロード性能を中心に必要な機能を足していくバイクだと理解すると、テネレ700の立ち位置が分かりやすくなります。
145万円台の価格で後悔しないために総額まで考える

2026年8月時点でヤマハ公式サイトに掲載されているTénéré700 ABSのメーカー希望小売価格は1,452,000円です。大型アドベンチャーバイクとして特別に高額というわけではありませんが、購入後に追加したくなる装備まで考えると予算が膨らみやすい車種です。
本体価格だけで予算を組まない
アドベンチャーバイクでは、エンジンガード、ラジエターガード、グリップウォーマー、ケース類などを装着したくなる人が多いでしょう。テネレ700にも純正アクセサリーが豊富に用意されています。
さらにクイックシフターやローシートなどを追加すれば、その分だけ支払総額は上がります。林道へ行くならプロテクションパーツ、長距離旅行なら積載装備というように、用途によって欲しい装備も異なります。
購入時に必要な装備だけ決める
見た目を完成させようとして最初から大量のパーツを装着すると、予算が大きくなるだけでなく車重も増えていきます。テネレ700の魅力の一つは、大型アドベンチャーとして比較的軽い205kgの車体です。
最初は足つきや車体保護など必要性の高いものだけを選び、実際に乗ってから積載や快適装備を追加する方法が合理的です。用途が固まっていない段階でフル装備にする必要はありません。
Low仕様は費用対効果が高い場合がある
足つき対策が必要な人にとって、Ténéré700 ABS Lowは検討しやすい選択肢です。スタンダードとの価格差は22,000円で、ローシートとローダウンリンクを組み合わせた状態で販売されます。
標準車を購入してから別々に対策するより、最初からLowを選んだほうが分かりやすいケースもあります。ただし、前述したようにサスペンション特性やシートの硬さにも影響するため、「低いほどよい」ではなく実車確認が前提です。
テネレ700とライバル車を比較すると後悔しにくい

「アドベンチャーバイクが欲しい」という理由だけでテネレ700に決めると、購入後に別の車種のほうが用途に合っていたと気付くことがあります。特に比較したいのがHonda XL750 TRANSALPとスズキ V-STROM 800DEです。
| 車種 | 方向性 | シート高 | 重量 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Ténéré700 ABS | オフロード重視 | 875mm | 205kg | 1,452,000円 |
| XL750 TRANSALP E-Clutch | オン・オフの万能性と快適性 | 850mm | 216kg | 1,430,000円 |
| V-STROM 800DE | 長距離ツーリングと未舗装路の両立 | 855mm | 230kg | 1,397,000円 |
価格や仕様は変更される可能性がありますが、比較するとテネレ700の特徴がよく分かります。シートは最も高い一方、車体重量は3車の中で軽量です。
舗装路中心ならTRANSALPも有力
XL750 TRANSALPはシート高850mmで、テネレ700より25mm低くなっています。現行国内モデルではHonda E-Clutchも採用されており、クラッチ操作の負担を減らしながら長距離ツーリングを楽しみたい人には魅力的です。
未舗装路にも対応できますが、テネレ700ほどオフロード側に振り切った設計ではありません。高速道路や一般道が大半で、たまにフラットダートへ入る程度ならTRANSALPのバランスを好む人もいるでしょう。
積載や長距離重視ならV-STROM 800DEも比較したい
V-STROM 800DEもフロント21インチを採用したオフロード対応のアドベンチャーモデルです。双方向クイックシフトを標準装備し、ドライブモードやトラクションコントロールなど電子制御も充実しています。
一方で装備重量は230kgで、テネレ700より25kg重くなります。荷物を積んで舗装路を長距離移動する安心感を重視するか、林道での軽快さを重視するかによって選択が変わります。
テネレ700を選ぶ理由が「見た目だけ」なら一度考える
テネレ700のラリーを思わせるスタイルに惹かれるのは自然なことです。しかし、見た目だけを理由に選び、実際は舗装路しか走らず、足つきの悪さや積載時の扱いづらさに毎回悩むのであれば、その性能を活かせません。
逆に「林道へ行きたい」「荷物を積んだまま未舗装路も走りたい」「大型アドベンチャーでもできるだけ軽い車体が欲しい」という理由があるなら、テネレ700を選ぶ意味は明確です。
快適な移動を最優先するならライバル車も含めて比較し、未舗装路での走りを重視するならテネレ700を軸に考えると選択しやすくなります。
テネレ700を買って後悔しないための購入前チェック

カタログスペックを眺めるだけでは、テネレ700との相性は判断しきれません。特に足つきと取り回しは身体のサイズや経験による差が大きいため、実車確認が重要です。
| 確認すること | チェックしたいポイント |
|---|---|
| 足つき | 両足だけでなく、片足をしっかり着いて支えられるか |
| 取り回し | エンジンを切った状態で前後に押せるか |
| 引き起こし | サイドスタンドから車体を起こす動作が負担にならないか |
| 低速操作 | Uターンや渋滞時の速度域で怖さがないか |
| 高速道路 | 風圧、振動、シートの硬さが許容できるか |
| 用途 | 実際に林道や未舗装路を走る予定があるか |
| 予算 | ガード類、積載、ローダウンなどを含めた総額で考えているか |
可能なら数時間ではなく1日レンタルする
テネレ700はヤマハ バイクレンタルでも取り扱われています。店舗によって車両や仕様は異なりますが、購入を真剣に検討しているならレンタルは有効な判断材料になります。
特に確認したいのは、納車直後には楽しくて気になりにくい部分です。ガソリンスタンドでの取り回し、狭い駐車場、何度も続く信号待ち、高速道路を1時間以上走ったときの疲労などを体験すると、自分の使い方との相性が見えてきます。
スタンダードとLowの両方にまたがる
スタンダードに不安を感じても、それだけで候補から外す必要はありません。約30mm低いLowでは停止時の印象が大きく変わる可能性があります。
逆にスタンダードでも片足をしっかり着けて扱えるなら、ローダウンによるサスペンション特性の変化を避けるために標準仕様を選ぶ考え方もあります。体格ではなく、実際に安心して扱えるかを基準にすると失敗しにくくなります。
自分が走る道の8割を基準にする
バイク選びでは「いつか走ってみたい道」だけでなく、実際に走る道を考えることが重要です。年間走行距離の8〜9割が高速道路や舗装路になるなら、オンロード寄りのアドベンチャーモデルも比較する価値があります。
反対に、ツーリング先で林道を見つけたときに迷わず入っていきたいなら、多少の足つきや快適性を受け入れてでもテネレ700を選ぶ意味があります。
テネレ700で後悔しないためには用途と足つきを最優先しよう
テネレ700で後悔しやすい最大のポイントは、875mmというシート高です。205kgという車重は大型アドベンチャーとして比較的軽量ですが、足が十分に届かない状態では停車時や取り回しで数字以上に重く感じます。
一方で、2025年モデル以降は電子制御スロットル、走行モード、トラクションコントロール、6.3インチTFT、スマートフォン連携、USB-Cなどが採用され、旧型で指摘されていた装備面の弱点はかなり改善されています。
舗装路での快適性だけを求めるなら他車も比較すべきですが、林道や未舗装路を含めて旅そのものを楽しみたい人にとって、テネレ700は非常に筋の通った選択です。
購入前にはスタンダードとLowの両方にまたがり、できれば試乗やレンタルで低速走行、高速道路、押し引きまで確認してください。それでも「このバイクで行きたい場所がある」と思えるなら、テネレ700の特徴は後悔の理由ではなく、選ぶ理由になるでしょう。



