「CB1000Rは不人気なの?」「性能は高いのに、なぜあまり見かけないのだろう」と気になっている人もいるでしょう。CB1000Rは998cc直列4気筒エンジンを搭載したHondaの大型ロードスポーツで、145PSの高出力や片持ちスイングアームなど魅力の多いモデルです。
一方で、価格の高さ、好みが分かれるデザイン、830mmのシート高、リッターバイクならではの性能の持て余しやすさなど、購入層を狭める要素もありました。2024年7月には国内で生産終了しています。
この記事では、CB1000Rが不人気と言われる理由を整理しつつ、本当に評価の低いバイクなのか、中古で買う価値があるのかまで解説します。
CB1000Rが不人気と言われる理由は「悪いバイクだから」ではない

最初に結論をいうと、CB1000Rが不人気と言われる主な理由は、性能や品質の低さではなく、価格・デザイン・性能・使い勝手の組み合わせによって購入対象となる人が限られやすかったことです。
Honda自身もCB1000Rを単なる大排気量ネイキッドではなく、「大人のためのEMOTIONAL SPORTS ROADSTER」として開発しています。万人向けの実用車というより、走りと質感を重視した上級モデルという立ち位置でした。
「不人気」と断定できる公式な販売台数データがあるわけではない
ネットでは「CB1000Rは不人気」と表現されることがありますが、ここは分けて考える必要があります。Hondaが公表しているのは主に販売計画台数であり、国内の実販売台数を年度ごとに示した資料ではありません。
2018年の国内発売時には年間1,000台の販売計画でしたが、2021年モデルでは700台、2022年11月発表モデルではCB1000RとBlack Editionを合わせて250台となっています。
販売計画が縮小していることから市場規模が大きくなかった可能性は考えられますが、販売計画だけを根拠に「売れなかった」と断定することはできません。
高性能なのに立ち位置が少しわかりにくかった
CB1000Rは998cc直列4気筒で最高出力145PS、最大トルク104N・mという十分以上の性能を持っています。しかし、サーキット性能を前面に出したスーパースポーツでも、昔ながらのCBらしさを強調したクラシックモデルでもありません。
Hondaは「NEO SPORTS CAFÉ」という独自の方向性を打ち出しましたが、この新しさが逆に「何を一番の魅力として選べばよいのかわかりにくい」と感じさせた可能性があります。
バイクはスペックだけでなく、名前や歴史、見た瞬間のわかりやすさも購入理由になります。CB1000Rは非常に完成度が高い一方で、購入動機をひと言で説明しにくいモデルだったとも考えられます。
2024年7月の生産終了も「不人気説」を強めている
Honda公式サイトでは、2022年11月発表モデルについて「2024年7月生産終了モデル」と案内されています。そのため、生産終了を知った人が「人気がなかったからなくなったのでは」と考えるのも自然です。
ただし、メーカーは排出ガス規制への対応、商品ラインアップの再編、モデルライフ、後継カテゴリーの投入など複数の事情を踏まえて商品構成を変更します。生産終了だけで不人気だったと判断することはできません。
実際、Hondaはその後、2025年1月にストリートファイター型のCB1000 HORNETを発売し、2025年11月にはCBブランドのフラッグシップとしてCB1000Fを投入しています。1000ccクラスの直列4気筒ロードスポーツ自体から撤退したわけではありません。
CB1000Rが選ばれにくかった5つの理由

「不人気」という印象が生まれた背景を具体的に見ると、ひとつの大きな欠点があったというより、購入を迷わせる条件が複数重なっていたことがわかります。
新車価格が約167万円と高かった
最終モデルのメーカー希望小売価格は、標準仕様が1,670,900円、Black Editionが1,716,000円でした。登録諸費用や用品を加えれば、実際の購入総額はさらに高くなります。
同じHondaでも、2024年型CB650Rのメーカー希望小売価格は1,034,000円でした。排気量や性能、装備が異なるため単純比較はできませんが、CB1000Rへステップアップするには60万円以上の価格差があります。
大型バイクでは「1000ccの性能が本当に必要か」を考える人も少なくありません。街乗りや一般的なツーリングが中心ならCB650Rでも十分と判断しやすく、CB1000Rは価格に見合う価値を強く感じる人でなければ選びにくかったと考えられます。
ネオスポーツカフェのデザインが好みを分けた
CB1000Rは丸型を基本としたLEDヘッドライトに、短いテール、金属感を強調した外装、片持ち式のプロアームを組み合わせています。一般的なクラシックネイキッドとも、鋭い外装のストリートファイターとも違うデザインです。
この個性的な造形を「未来的で上質」と感じる人がいる一方、昔ながらのCBらしいタンクやサイドカバー、水平基調のシルエットを求める人には刺さりにくかったでしょう。
比較対象として名前が挙がりやすいZ900RSは、Z1を思わせるティアドロップ型タンクや丸型ライトなど、レトロスポーツであることがひと目でわかります。CB1000Rは新旧を混ぜた独自路線だったため、デザイン面でより好みが分かれやすいモデルでした。
145PSの性能を公道では持て余しやすい
CB1000Rの最高出力は107kW、145PSです。低中速域でも力強く走れるように設計されており、高速道路やワインディングでは余裕のある加速を楽しめます。
しかし、日本の一般道で145PSを常に使い切る場面はほぼありません。アクセルを少し開けるだけでも速度が乗りやすく、「性能を使い切る楽しさ」という意味では中排気量車のほうが満足しやすい人もいます。
シート高830mmで足つきへの不安がある
最終型CB1000Rのシート高は830mmです。車両重量は標準仕様で213kgとなっており、1000ccクラスとして極端に重いわけではありませんが、停車時にはシート高の影響を受けます。
Webikeの試乗記事でも、身長170cmのライダーではかかとが接地しない状態が紹介されています。もちろん足の長さや乗り方によって変わるため、身長だけで足つきを判断することはできません。
比較すると、2025年型Z900RSはシート高800mm、車両重量215kgです。重量は近いものの、CB1000Rはシートが30mm高くなっています。取り回しに不安がある人にとって、この差は購入判断に影響しやすいポイントです。
ツーリング万能車として見ると弱点もある
CB1000Rはネイキッドなので、標準状態では大型スクリーンによる防風性能を期待できません。高速道路を長時間走る場合、フルカウルのスポーツツアラーなどと比べると走行風による疲れを感じやすくなります。
燃料タンク容量は16L、WMTCモード燃費は17.2km/Lです。単純計算では約275kmですが、実際の航続距離は走り方や交通状況によって変わり、給油警告が出る前に給油することも考える必要があります。
街乗り、峠、高速道路をバランスよく楽しむ性能は備えていますが、「長距離ツーリングの快適性を最優先したい」という目的なら、より防風性や積載性を重視したモデルのほうが合理的です。
それでもCB1000Rには評価すべき魅力が多い

選ばれにくい理由だけを見ると欠点が多いように感じますが、CB1000Rには現在でも中古車を探す価値のある特徴があります。むしろ万人受けしなかった部分が、所有する人にとって魅力になるケースもあります。
998cc直列4気筒ならではの余裕がある
CB1000Rには水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒998ccエンジンが搭載されています。CBR1000RR系のエンジンをベースに、ストリートで扱いやすい出力特性を狙ったものです。
最大トルク104N・mを8,250rpmで発生し、最高出力145PSを10,500rpmで発生します。高回転まで回さなくても余裕があり、追い越しや高速道路への合流などでも大排気量車らしい力強さを感じやすい仕様です。
「常に高回転まで回して速さを引き出したい」というより、必要なときに十分な加速力がいつでもある状態を楽しみたい人に適しています。
片持ちスイングアームなど所有感の高い造り
リアにはHondaが「プロアーム」と呼ぶ片持ち式スイングアームを採用しています。一般的な両持ち式とは見た目が大きく異なり、特にマフラー側から見たリアホイール周辺には独特の存在感があります。
倒立フロントフォークやラジアルマウントフロントブレーキ、LED灯火類なども採用されており、単純に排気量が大きいだけのモデルではありません。
Black Editionでは燃料タンクだけでなく、ラジエーターシュラウド、シートレール、スイングアーム、マフラー、エキゾーストパイプなどもブラックで統一されました。見た目や質感を重視する人にとって、中古になっても魅力が薄れにくい部分です。
電子制御が充実している
CB1000Rにはスロットルバイワイヤが採用され、走行モードの変更など電子制御によるライダーサポートを備えています。クイックシフターも採用されており、クラッチ操作を減らしながらシフトアップ・シフトダウンができます。
2021年のモデル変更では、スマートフォンとの連携機能も導入されました。現在の最新モデルほど大型TFTメーターの情報量は多くないものの、発売時期を考えれば電子装備は比較的充実しています。
CB1000Rの価値は「145PSあること」だけではなく、高出力エンジン、軽量化を意識した車体、電子制御、独特のデザインをまとめて楽しめる点にあります。
CB1000RはZ900RSやCB650Rと何が違う?

CB1000Rが不人気と言われる理由は、ライバルや同門モデルと比較するとさらにわかりやすくなります。単純なスペックの優劣ではなく、「何を重視する人向けなのか」が異なります。
| 項目 | CB1000R | Z900RS | CB650R |
|---|---|---|---|
| 排気量 | 998cc | 948cc | 648cc |
| エンジン | 直列4気筒 | 並列4気筒 | 直列4気筒 |
| シート高 | 830mm | 800mm | 810mm |
| 車両重量 | 213kg | 215kg | 205kg |
| WMTCモード燃費 | 17.2km/L | 18.8km/L | 21km/L台 |
| キャラクター | 高性能ネオスポーツ | レトロスポーツ | 扱いやすいミドルスポーツ |
※CB1000Rは最終型、Z900RSは2025年型、CB650Rは2024年型を基準にしています。年式によって仕様は異なります。
Z900RSはデザインとブランドのわかりやすさが強い
Z900RSはZ1のイメージを現代に再現したレトロスポーツです。丸型ヘッドライトやティアドロップ型タンクなど、どのような世界観のバイクなのかが非常にわかりやすい特徴があります。
CB1000Rにも丸型を基調としたヘッドライトがありますが、全体は未来的です。クラシックな雰囲気を求める人にはZ900RS、個性的でモダンな造形を好む人にはCB1000Rという違いがあります。
そのため、Z900RSの人気が高いからCB1000Rが劣っているという単純な関係ではありません。デザインに求められている方向性そのものが違います。
CB650Rは価格と扱いやすさのバランスがよい
CB650RもCB1000Rと同様にNEO SPORTS CAFÉの系統を持つモデルですが、排気量は648ccで、車両重量も軽く、シート高も低く抑えられています。
2024年型の価格は1,034,000円で、CB1000R最終型とは約64万円の差があります。大型二輪免許が必要なのは同じでも、購入費用、燃費、タイヤなどの消耗品費まで考えるとCB650Rのほうが負担を抑えやすいでしょう。
一般道を中心に直列4気筒らしいフィーリングを楽しむことが目的ならCB650Rでも満足できる人は多く、ここでもCB1000Rを選ぶ理由が「1000ccならではの余裕が本当に欲しい人」に絞られます。
2026年現在はCB1000 HORNETやCB1000Fも比較候補になる
CB1000Rはすでに生産終了しているため、現在Hondaの1000ccクラスを新車で検討するなら、CB1000 HORNETやCB1000Fが候補になります。
CB1000 HORNETはストリートファイター色を強めたモデルで、メーカー希望小売価格は1,342,000円からです。CB1000Fは伝統的なCBを連想させるスタイリングを採用し、1,397,000円からとなっています。
どちらもCB1000R最終型の167万円台より価格が低く設定されています。結果としてCB1000Rは、「高性能ネイキッドが欲しい人」と「伝統的なCBが欲しい人」の間に位置していたことが、現在のラインアップを見るとより明確です。
CB1000Rの中古車は狙い目なのか

新車販売が終了した現在、CB1000Rを購入する場合は中古車が中心です。不人気という言葉だけを見て避けるのではなく、価格と車両状態のバランスを確認することが重要です。
新車時より価格が下がっており選びやすくなっている
2026年8月時点のグーバイク相場表では、CB1000Rの中古車在庫は27台、平均価格は約118万円と表示されています。掲載台数や平均価格は随時変化しますが、新車時の167万円台と比べると購入しやすい価格帯まで下がった車両があります。
新車価格ではCB650Rや他車との価格差が大きかったCB1000Rも、中古になるとその差が縮まります。そのため、中古価格まで含めると、むしろ現在のほうがCB1000Rの性能と装備を割安に入手しやすいという見方ができます。
ただし、中古車価格が安いことと維持費が安いことは別です。190サイズのリアタイヤを使用するリッターバイクなので、タイヤ交換や消耗品、任意保険なども含めて予算を考えましょう。
年式だけでなくリコール対応状況を確認する
CB1000Rには過去にリコールが届出されています。中古車を購入する際は、対象車両である場合に必要な改善措置が実施されているか確認しておくと安心です。
販売店で購入する場合は、車台番号をもとにリコール対応状況を確認してもらうのが確実です。個人売買の場合も、Hondaのリコール情報から対象範囲を確認しておきましょう。
カスタム車は純正部品の有無もチェックする
CB1000Rはマフラー、フェンダーレス、ミラー、スクリーンなどを変更している中古車もあります。好みのカスタムなら追加費用を抑えられますが、純正部品が残っているかも確認しておきたいところです。
特に車検に関係する部品を変更している場合は、保安基準への適合状況を確認する必要があります。マフラーは音量だけでなく認証の有無などもチェックしましょう。
生産終了モデルは時間の経過とともに一部外装部品やアクセサリーが入手しにくくなる可能性があります。長期間乗るつもりなら、購入時点で大きく欠品していない車両を選ぶほうが安心です。
CB1000Rを買って後悔しやすい人・満足しやすい人

CB1000Rの評価は、スペック以上に「どのような使い方をするか」で変わります。購入後の後悔を避けるには、不人気という評判より、自分の用途との相性を見ることが重要です。
後悔しやすいのは維持費や取り回しを最優先する人
通勤や短距離の街乗りが中心で、燃費や消耗品費をできるだけ抑えたい人にはオーバースペックになりやすいでしょう。213kgという重量に加えて830mmのシート高があるため、頻繁に押し引きする環境でも負担を感じる可能性があります。
「1000ccなら一番速くなければ嫌」という人にも慎重な検討が必要です。CB1000Rは145PSと十分に速いものの、絶対的な最高出力を競うハイパーネイキッドとは方向性が違います。
クラシカルなCBのデザインを想像して購入すると、外観の方向性にもギャップが生まれます。写真だけでなく実車を見て、可能であればまたがって確認することをおすすめします。
満足しやすいのは性能と希少性を楽しめる人
一方、人と同じバイクになりにくいことを魅力と考える人にはCB1000Rがよく合います。Z900RSなどの定番人気車とは違った存在感があり、道の駅やツーリング先でも比較的かぶりにくいモデルです。
大排気量4気筒の余裕、クイックシフター、片持ちスイングアーム、独自のスタイリングに魅力を感じるなら、不人気と呼ばれることはほとんどデメリットになりません。
中古価格が新車時より下がっていることも含め、「新車価格では高く感じたが、100万円台前半なら欲しい」という人にとって再評価しやすい状況です。
購入前には必ず足つきを確認したい
CB1000Rで特に机上のスペックだけでは判断しにくいのが足つきです。830mmという数値だけを見ると高く感じますが、シートの形状やライダーの股下によって実際の感覚は変わります。
車体重量も停車時と走行中では印象が異なります。走り出せば軽快に感じても、傾斜した駐車場やUターン、バックでの取り回しでは不安を感じる人もいます。
CB1000Rの不人気理由を理解すれば中古では魅力的な選択肢
CB1000Rが不人気と言われる背景には、約167万円という新車価格、好みが分かれるNEO SPORTS CAFÉデザイン、145PSという公道では余裕が大きい性能、830mmのシート高などがあります。性能不足というより、購入する人を選ぶ条件が重なったモデルです。
2024年7月に生産終了していますが、生産終了だけを理由に失敗作だったと判断することはできません。998cc直列4気筒エンジン、片持ち式プロアーム、クイックシフターなど、現在見ても魅力のある装備を備えています。
中古市場では新車時より価格が下がっているため、状態のよい車両を適切な価格で見つけられれば選択肢として十分魅力的です。安さだけで選ぶのではなく、「独特のデザインと大排気量4気筒の余裕を楽しみたいか」で判断すると、購入後の後悔を減らしやすいでしょう。
公式情報はHonda CB1000R公式サイト、発売当初の情報はHonda 2018年CB1000Rニュースリリース、2021年モデルの諸元はHonda 2021年CB1000Rニュースリリース、中古車相場はグーバイク CB1000R相場表で確認できます。



